[雪代縁]放っておけない2

50話 ページ2

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頭にいっぱい "？" が浮かぶ

なんでここが分かったの？どうして来てくれたの？


そんな疑問を抱えているのはわたしだけではないみたいで、男が後ずさりし その場で尻もちをつけば ｢どうして雪代縁がここに…！？｣ と 声を震わせた




全くもってその通りだ

普通来ないじゃん。面倒事とか嫌いだろうし、わたしなんていない方が好都合だろうに



雪代さんの胸元にすっぽり収まったまま ちらり、と顔を見上げる


こちらに一瞬だけ目線を落とせば、雪代さんはわたしのはだけた襟もとを直してくれた



そういえば、前にもこんなことがあった


なんだかわたしは助けられてばかりだ






｢貴様は見誤りすぎだ｣



｢ハ…？｣





雪代さんが男に向かって冷ややかな目線を向ける




｢街のヤツらが俺の所へ訪ねて来た。こいつが攫われたのを見たから助けろ と



何故こいつと俺が結び付くのかが納得いかない点だが、貸した部屋が散らかったままトンズラされるのは御免だ｣






えっ、そんな理由？




いや、でも どんな理由だろうが本当に本当に助かった。街の人、商店街のおじちゃんだろうか？よく買い物の時間が被るおばさんだろうか？たくさんの人とお話して、仲良くなって、服のほつれや古いぬいぐるみを直したこともあった。そんな些細な関わりが、わたしを生かしてくれた






｢こいつがどれだけ人から愛される性分なのか、それを理解しないままに人前で攫ったお前に落ち度がある


だからいつまでも三流なんだ、雑魚が｣



｢…っ｣





きつ！




雪代さんが後ろで待機していた組織の部下の人達に ｢捕らえろ｣ と一言命じると、男は大勢の部下の人に囲まれ、すぐに姿が見えなくなる
見張りで立っていたはずの男の部下は とっくに捕らえられ、縛られて地面に倒れていた





そんな情景をぼー、と見つめれば お礼を言わないと！と慌てて雪代さんから離れて正面に向き直る

ばっちり目と目が合った。わたしを視界に入れた途端、雪代さんの瞳が少し揺れた気がした




｢…無事か？｣


｢お陰様で！｣




ならいい。と 雪代さんはそのまま背を向けて歩き出してしまう



そんな背中を追いかけて隣に並べば ｢助けてくれて、ありがとうございます｣ とお礼を伝える









雪代さんは、何も言わない









何も言わないけれど、いつもより歩くスピードがゆっくりに感じれて。どうしようも無く愛しくて堪らなくなって、なんだか少しだけ涙が出た。

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