借金のカタに結婚 #とは

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Side:A


放送室の前に来て30秒。中に入っていた山姥切くんが出て来た。

「放送室は制圧した。一応盛り塩もしたから、余程のことがない限りは大丈夫なはずだ 」
「お疲れ様。じゃあ職員室に……」
「しっ 」

そう国吉くんが言って、黙るとずる、ずる、と何かを引きずる音がする。

「山姥切、放送室開けて 」
「開かなくなったから無理だ 」

ずる、と引きずる音が止まった。

「ひ……」

音のした方を見ると、何かを引きずったボサボサの髪の女の人がいた。
そう、姿を視認して、正体がわかった。顔も傷だらけ。引きずっているのは人間の子供。

「……池田正宗さん、階段まで避けながらいける？」
「単独ならいけるかもしれませんが、全員となると厳しいかもしれません……。というか、あれに捕まらないよう逃げるとか無理じゃありませんか？誰がタゲられるかもわかりませんし…… 」

……こっちを向いた。薄暗いのに慣れたせいか、カッと目を見開いたのが見える。

「……山姥切。俺が美味しいところ持って行くみたいだけど、二人連れて逃げて 」
「っ!?でもそうしたらお前が……」
「俺なら、大丈夫。階段の上まで行ったら、多分安全だから 」
「……絶対、後でお前も来い！」

フラグになるような会話をしながら、ぐ、と親指を立てたのを確認して、ながよちゃんに付いて行った。

「本当にフラグにならなきゃいいけど…… 」

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