○包容力のある人 ページ13
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「喉渇いただろ?何か飲み物持ってくるよ」
「ありがとう、」
ジェヒョナがポンポンと私の頭に手を置いて立ち去った。
すぐにでも帰りたかったけど、部長よりも早く帰ったらあとで何を言われるか分からない。
人気のない広間を見つけて、フカフカの椅子に腰を下ろす。
「あれ、君、」
後ろから聞き覚えのある声がした。
「ジ………ン…さん?」
「お、覚えててくれたの?君は、アレだよね、あのー、ユンギの!」
''ユンギの''というワードにまたチクリと胸を痛める
「………何かあった?」
さっきまで明るかった口調が低くなって、ジンさんは小さな声で囁いた。
「あ、いえ、何も………」
「ユンギと会ったの?」
つい顔を上げてしまいジンさんと目が合う。
ゆっくりと口角を上げて、ジンさんは優しい瞳でこちらを見た。
人混み嫌いでさー、って、左手でネクタイを下げて隣に腰を下ろす。
「正直、こういう場所嫌いなんだよ。ずっとアイドルの''ジン''として過ごさなくっちゃいけないし。」
女の子もずっと僕を狙ってくるしね!ってわざと目をウルウルさせて手を前でクロスしたジンさんを見て、つい笑う。
「フフ、笑ったね」
「あ、ごめんなさい、私」
「ううん、いいのいいの。ユンギも、Aちゃんのこういうところに惹かれたんだろうなあ」
つい、え?と声を上げる。
ジンさんは戯けた顔で言っちゃった!ユンギには言わないでよ!って言って笑ってる。
「でもユンギさん、彼女さんが…」
目の前で、ジンさんが口を大きく開けて笑ってる。
「アッハッハ!!!ユンギが彼女?誰に聞いたの?まさかユンギから?」
おい、聞いてないぞー!笑、あー、面白い、って目尻の涙を拭ったジンさんをただ見つめる。
「………え?ユンギから聞いたの?違うでしょ?」
「あっ……違い、ます」
「うーん、ユンギヤは素直じゃないし天邪鬼だけど、」
よいしょ、って座り直してこちらを向いた。
「誰よりも優しい心の持ち主だし、嘘は絶対につかないよ。いつもAちゃんのメールを待ってるし。きっと、Aちゃんを一番泣かせたくないと思ってるんじゃないかな」
優しい笑顔でそう伝えるジンさんは、最年長らしい包容力があって、不思議な安心感を覚えた。
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ばタこ(プロフ) - 霞さん» 霞様、コメントありがとうございます!テヒョンくんに聞かれちゃってました(^-^)夜だけ寝て下さい!それで合ってます!笑 頑張ります、有難う御座います(T-T) (2020年9月18日 16時) (レス) id: c9cd41e168 (このIDを非表示/違反報告)
ばタこ(プロフ) - ここまるさん» ここまる様、コメントありがとうございます!死ぬほど面白いなんて嬉しすぎます〜〜!有難う御座います! (2020年9月18日 16時) (レス) id: c9cd41e168 (このIDを非表示/違反報告)
霞(プロフ) - まさかのテヒョンくん、、、キュンキュンしてたところに飛び出してきたテヒョンが気になり過ぎて夜しか眠れません更新頑張ってください! (2020年9月18日 16時) (レス) id: 7c44520856 (このIDを非表示/違反報告)
ここまる(プロフ) - 死ぬほど面白いです、、応援してます!! (2020年9月17日 20時) (レス) id: 3c8b97a1b0 (このIDを非表示/違反報告)
ばタこ(プロフ) - チャンさん» チャン様、コメントありがとうございます!嬉しすぎるお言葉有難うございます(;_;) (2020年9月17日 7時) (レス) id: c9cd41e168 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ばタこ | 作成日時:2020年9月16日 16時