オカミサマその9 ページ7
｢せ、先生…大丈夫ですか？｣
｢…あぁ、なんとかな…｣
｢良かったあ…｣
Aはその場にへたり込むような気分で大きく息を着いた。
｢でも露伴先生…このあとはどうやってホテルに戻ってくるんですか…？｣
｢いやあ…金もないし、帰りの新幹線のこともあるし、正直ちょっとまずいかもなぁ…怪我が酷いから、救急車で運ばれるかもしれない…｣
Aはそうだ、と思い出した。
露伴はこのあと何やかんやして杜王町に帰るが、運転手に強く殴られたため、SAからは救急車に乗って帰るのだ。
一体どこの病院に連れていかれるんだろう…とAは不安になった。
杜王町を訪れる前から、東京に行くことなどほとんどなかったA。露伴が近くにいると思えば不安はなかったが、自分一人で帰ることができるとは思えない。
｢怪我酷いんなら呼びましょうよ…救急車。どこの病院に向かうか聞いといてくださいね｣
｢分かった。…そうだ、君は平気か？｣
｢へ？私？｣
携帯の向こうから聞こえる露伴の声が、急に真剣なものになった気がして、Aは不思議に思った。
｢また、あの訳の分からないやつに襲われていないか？｣
｢！…そうだった…平気です。なんともないので、露伴先生もお気をつけてください｣
｢出来るだけ早く会えるといいな…後でもう一度連絡する。｣
｢分かりました。では…うっ！？｣
そう言って電話を切った時、Aは酷い目眩と頭痛に襲われた。
(なんだこれ偏頭痛…？疲れたのかも…とりあえず外の空気吸おう…)
そうしてAはホテルの外に出て深く深呼吸をした。夜空を眺めていると、段々と頭痛も治まってきた。
｢…ふぅ、露伴先生の連絡が来るまでに、荷物とか片付けておいた方がいいかな｣
Aはそう独りごちると、ホテルの中へ戻っていった。
.☆.｡.:.+*:ﾟ+｡ .ﾟ･*..☆.｡.:*
そんな彼女を建物の影から盗み見る男が1人。
｢まだ、か…完全には、忘れていない…｣
眉目秀麗なその男は、夜闇に紛れて消えていった。
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四葉 - 面白いですね 更新待ってます 頑張ってください (2021年3月31日 12時) (
レス) id: 0e6ae3a87b (このIDを非表示/違反報告)
粉雪(プロフ) - とても面白かったです！更新待ってます (2020年4月11日 16時) (レス) id: e56b1830f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：林檎凛子 | 作成日時：2020年2月27日 19時
