翔の体調悪化3 ページ49
翔side
あれから智兄の車の運転で職場へ。
先輩「なんかあったらすぐ言って？分かった？」
「わかってますって...」
智兄から先輩に話は通じていてその言葉に頷く。
薬飲んで体調が良くなったり、治まったりするぐらいなら仕事したい。
こんな事言ったら怒られそうだけど。
まじで無理なら早退するし仕事も休む。
多分ね、智兄とか先輩は俺が無理して体調崩すの何回も見てるから...
その姿を見るのが辛いし俺も辛い。
自分のわがままで周りを巻き込むことは申し訳ないけど許して欲しい。
ホットラインが鳴り響く救急。
搬送が多くなるんだろうなって予測。
ただでさえ人が少ないのに俺がこんなんだから受け入れ拒否もあるはず。
救えるはずの命が救えない。
救いたい気持ちがあっても自分の足は動かない。
悔しい。
＊
先輩side
「翔先生！！」
バタバタと搬送されてきた患者さんの治療をしていた時に聞こえた叫び声。
その声がした方向を見ると床に倒れている翔くん。
治療していた患者さんを研修医に任せて駆け寄る。
「翔くん！わかるー？」
車椅子から乗り換えてパソコンがある椅子に座っていたからかなり強い衝撃があったはず。
「っ...」
声を掛けた瞬間口を固く食いしばり、手足を伸ばした状態で全身が痙攣し始めた。
すぐに体勢を横向きにして嘔吐しても誤嚥しないようにする。
てんかんの発作が起きてしまった。
翔くんが職場でてんかん発作が起こすのは初めて。
もしかしたら朝から体調悪かったのが前兆だったのかもしれない。
だったら無理させないで休ませれば良かった。
しばらくして身体の震えが収まり力が抜けた状態に。
時間にして2分。
「一応智くんには連絡してもらっていい？」
まだ意識が戻らない翔くんをスタッフの力も借りてストレッチャーに乗せて空いている処置室に運ぶ。
智くんは1日休みって言っていたから連絡したら来るはず。
少し長めの発作だったから意識が戻るまではまだ時間が掛かりそう。
意識が戻るまでって事で酸素マスクを付けた。
「傷も出血も無さそうだな..」
倒れた衝撃で怪我があったらと思ったけど大丈夫そう。
ただでさえ頭の手術していたからさ。
「飛んでるな...」
朝からの体調不良で念の為モニターを付けたら表示される不整脈。
時々モニターの警告音が鳴るほど。
これは俺だけでは判断しきれない。
「翔くんのさ主治医の先生にコールお願い」
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作者名：Lima
| 作成日時：2020年1月1日 1時
