和と雅紀の隠し事 ページ22
雅紀side
ボーッとする意識で聞こえる音。
目を開けると薄暗い病室。
「...ゲホッゲホッ」
自分の咳が苦しくて起きる毎晩。
入院して数日。
『2人しかいないから』って自分の咳がうるさくて怒る人はいないからって説明された(笑)
徐々に良くなっていくと言われてもなかなか回復した実感がない。
熱もまだかなりあるらしいし、呼吸も苦しい。
呼吸する度に酸素マスクが曇る感覚。
時々胸痛も感じて手で擦る。
苦しい...
和「んっ...ゲホゲホ...んん」
寝れそうって思ったら聞こえる声。
和も。
自分より結構酷い肺炎らしくて見ていて辛い。
いや、周りから見たら自分も辛そうって見られているけども...
和は呼吸器系が小さい時から弱くて咳が長引くタイプだったから。
今回もそうなっちゃうかなって。
少し頭を動かして視線を和に向ける。
寝れてるのかなぁ...
体調悪いの隠していたからかなり悪化したって智兄が言ってたっけ。
俺の事なんて気にしないで休んで欲しかった。
「...っ...」
名前を呼ぼうとしても上手く声が出ない。
掠れた声しか出なくて虚しくその声は消えていく。
和「はぁ...はぁ...はぁ...」
ん？なんかやばくない？
大丈夫...ではないな、これ。
普段聞いている呼吸音より浅くて肩で呼吸している気も。
なんかあったらと左手元に置かれていたナースコールを押した。
＊
翔side
「....？」
たまたまナースステーションにいて雅紀からナースコールがあって駆けつけた。
主は雅紀ではなく、和。
すぐに何か異変があるって感じて診察。
その間も心配そうに見つめる雅紀の視線。
厄介な状況になったな...
「レントゲン出来るか確認してもらっていい？あとさ...」
介助してくれている看護師にお願いする。
肺に水が溜まっていてそれが息切れを起こしている。
これからレントゲンして、水量によっては抜く作業も。
和には苦しい思いをさせてしまった。
「ありがとうな、雅紀...助かった」
和の病衣を直し雅紀の近くに。
ふふって微笑んだ。
「時間掛かるから寝なよ？さらに悪化するからさ」
雅紀のことなら検査から帰ってくるまで起きてそうだから。
雅紀「ん...」
そっと頭を撫でると高い体温が伝わる。
次第に目を閉じている時間が長くなり深い寝息。
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作者名：Lima
| 作成日時：2020年1月1日 1時
