腸閉塞（翔） ページ34
雅紀side
翔「んっ...んっ...」
苦しさから逃げるように俺の手を握る翔兄。
腸に詰まっている物を吸入する為と腸の圧力を下げるために鼻からチューブを入れることに。
腸までチューブ入れるから体内の違和感が結構あるみたい。
やり始めた最初の頃はチューブを挿入しているスタッフの手を抑えたり...(笑)
いくら体調悪くても対抗する気の体力はあるみたいで智兄が呆れるほど。
だから俺が手を固定していた。
△「もう少しで終わりますからね〜」
翔兄の様子をみたスタッフがそうは言ってくれたけど目を強く瞑っているから分かってるかな...
しばらくしたら頬に貼られたテープ。
それは挿入を終了したと示すもの。
智「翔？終わったよ、お疲れ様〜」
目頭にスーッと流れていた涙を指で拭い頭を撫でる智兄。
『自分いると甘えるから(笑)』って処置もせず、固定もスタッフと俺に任せた智兄。
自分が挿入したらそれこそ、翔兄がよりいっそう治療に対する協力が無くなるって。
それだったら違う人に任せて入院する時に甘えさせるって言っていた(笑)
症状が落ち着くまで鼻からチューブは入れたままだし、点滴も。
絶飲食、禁水。
脱水とかの予防にね。
水分が腸の方に多く行くから極度の脱水症状になると意識が下がったりもするし。
いくら治療の為といっても一歩間違えたら症状以上のものが出たりするのが怖い。
･
智「よくねてる...ふふ」
気が付いたら頃には日が昇っていてテレビからは今年一番の寒波！って音声が聞こえてくる。
「ね...寝れるのが一番だもんね」
昨日の昼間の様子をずっと見ていた智兄が安心した表情でソファーに座りコーヒーを飲んでいる。
救急車で来て、１回家に帰って出勤するって。
仕事用バックを持ってないからって。
1時間だけ遅らせて出勤...
『当直の手術に比べたら余裕』って強がっているのか仮眠も少しだけ。
眠そうな表情しているのにな〜(笑)
そんなこと言ったらコーヒー投げてきそうだから言えないけどね！
「ん、任せて」
たまたま2日間休みだから今日1日は翔兄の近くにいようかな。
智「...はぁ、じゃ、帰るわ」
バイバイと手を振る。
"帰るのもだるい"って漂う雰囲気。
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作者名：Lima
| 作成日時：2019年9月28日 23時
