脳に腫瘍（和） ページ3
雅紀side
「かず！」
薄らと目が開いた状態で痙攣する和。
入院してから下り坂のように体調が悪化していった和。
腫瘍の影響で痙攣も。
ナースコールを押し、痙攣している身体を擦る。
和の身体なのにそうじゃない気持ちも。
すぐにスタッフが来て点滴に薬が投与される。
「大丈夫...ね」
聞こえてないけど自分を落ち着かせる為か和の為かそんな言葉が出る。
しばらくすると痙攣が治まる。
「はぁ...」
どっと力が抜ける。
痙攣中の記憶は和にはない。
それがいいのか、悪いのか...
判断しづらい。
さっきまでのバタバタ感も無くなり、眠っている。
ずっとベッド上だからやせ細ってきている。
脚の浮腫もわかりやすいほど。
何も出来ない...
「...無力だ」
はぁとため息が出る。
＊
和side
「うえっ...げほっ...」
気持ち悪っ。
最近は吐き気まで出てきていている。
食べてないから出すものがないから胃液だけ。
吐きたいのに吐けない。
別の気持ち悪さ。
吐き気が治まりふと腕を見る。
ずっと繋がれている点滴。
これすごく眠くなる。
まぁ、体質的に俺がそうなんだけど...
気がついたら夜。
おまけに熱も。
どうにもならない身体に嫌気が出てくる。
いつもは誰かしら夜いるけど、今日は帰ってもらった。
最近ずっとそうだしゆっくりね、寝て欲しいし。
でもそれと比例するように吐き気が強くなる。
「ゲホッ...ん...」
誰も背中を摩ってくれないから余計に。
人がいないってこんなに寂しいんだ。
「んっ...んっ...」
頬を濡らす涙。
なぜか涙が止まらない。
久しぶりに1人だからかな...
心細さもある気も。
「んあっ...ん"ん"...」
やばい。
殴られるように頭が痛い。
なんで...
苦しくて涙も。
家にいた時と同じような痛み。
枕元にあるナースコールを押した。
＊
先輩side
当直中、救急が落ち着いているから和くんの病室へ。
翔くんから話を聞く限りあまり体調が良くないらしく...
1回顔見たいなって思って。
入院している病棟に行くと少しバタついている...？
「あっ、どうも」
病室の前に来たら当直の先生と鉢合わせ。
先生「痛みが出てきたようで。急遽処置させて頂きました。」
かなり痛みが強かったらしく痛み止めを使ったって。
主治医の方にも言っておきますねと言われて、俺は病室に入った。
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作者名：Lima
| 作成日時：2019年9月28日 23時
