発作の脅威（翔）8 ページ4
名取side
翔先生が搬送されてきて数日。
なんとか山を越え急変せずに。
重度の低体温症も徐々に回復傾向になり、午前中にチューブを抜いた。
まだまだ治療も続くことから中心静脈カテーテルをすることに。
右鎖骨からカテーテルを入れて心臓の近くにある血管に刺して高濃度の糖液を投与する。
藍沢先生もやるかかなり迷って、色々な先生に聞いてやるって決めたみたい。
ただでさえ弱っているのにそれに追い討ちをしたくないっていうか...
合併症でさらに症状を悪化する可能性もあるから...
難しいな。
カテーテルの固定が終わりそれを電カルに記入する。
赤い皮膚が痛々しい...けどそれも数日すれば消えてくる。
この病院と翔先生のご家族が住んでいる家は片道1時間半。
なかなか仕事も忙しくこっちに来るのは週末の夜。
本当はそばに居たいらしいんだけど...
来るまでが大変だから、週一でも来るのは翔先生にとって嬉しいから...と冴島さんが言っているのを聞いた。
なるべく早めに転院をさせたいって藍沢先生が考えているらしいけど、今の状況だと搬送中に何が起きるか分からないから...
ある程度回復したらって。
まだその道は長い。
たまに人工呼吸器から警告音が鳴ることもしばしば...
こっちが落ち着いたって思ったら、次はこっちってやはり安定していない。
その日の夜。
週末の夜ってこともありICUにはそれぞれの病室には家族がお見舞いに来ている。
翔先生のご家族も。
＊
和side
世の中的には"諦めろ"って言われてもおかしくない状況。
でも、手も温かくて、爪も伸びている。
生きては...いるんだ。
兄弟で話し合った。
もし急変しても延命処置はしないって。
それは覚悟しているという意味だった。
本当に少しずつだけど良くはなっているらしくて...
このまま...良くなるかなと希望も抱いたり。
「....ねぼすけ。」
ビューンと翔兄の頬を伸ばす。
寝すぎ。
早く起きてってよ。
夢でも患者救ってるわけ？
「...待ってるのに。」
はぁダメだよねこんな事言ったら。
翔兄も頑張っているのに。
ピーピー
「はっ...？」
人工呼吸器から急に響いた警告音。
その音と共にスタッフが来る。
波のように俺は出入口に流される。
どういうこと？
これって...まさか。
絶望に陥っていた時声が聞こえた。
『どうやら翔さんと呼吸器の速度が合わなくなってしまったようで。
翔さん少しご自身で呼吸が出来るようになられたようですよ。』
これって...
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作者名：Lima
| 作成日時：2019年8月24日 23時
