発作の脅威（翔）5 ページ1
名取side
ストレッチャーをヘリに搬入して、藍沢先生は翔先生の身体に全自動心臓マッサージ機を付けて身体から手を離した。
離陸や飛行中は危ないから。
俺自身はずっと換気をしている。
蘇生してほしい。
心停止して20分。
病院に着くまであと10分。
病院で本格的に治療が始まる時間まであと12分だとしたら...
心拍が戻ったとしても目が覚める確率が低い。
この先生さ、負傷者に優しい表情で寄り添っててさ...
外から見てる俺まで思わず安心してしまうほど。
そして救急隊や消防隊にも嫌そうな態度してなくて...
あんな愛想良い医者この世にいるんだって。
もっと沢山の人を救って欲しい。
藍沢先生もいつもなら俺と冴島さんに任せて、1人現場に残るのに...
珍しいっていうか。
言わないだけでこの人も同じ事考えているんじゃね？って(笑)
そう思ったら尚更救わないとなって。
＊
NOside
藍沢「心停止から30分経過。」
『30分って...』
それを聞いたスタッフが嘆く。
ヘリポートからすぐに病院のカテーテル室に運び込まれた翔。
藍沢自らカテーテルをやると。
ピンポン...ピンポン
カテーテル室に響く心停止の音。
処置が始まるまで心臓マッサージがされる。
血栓で詰まった血管を広げる作業。
血管を広げるために網のようなものを入れて、血管の内腔の広さを確保する。
一刻も速くそれをしたい藍沢はモニター画面を見ながら手元を進める。
いつもなら感じない藍沢のなんともいえない驚異的な雰囲気。
ピッ....ピッ...
広げた瞬間響く音。
藍沢「はぁ...」
翔の心臓が動き出した。
藍沢自身も思わず声が出てしまうほど。
しかし動いてはいるが...
『不安定すぎる...』
心臓は動いているがゆっくりすぎる。
この状態では再び心停止になるのは時間の問題。
藍沢「VADやるか...ご家族には？」
『今こちらに向かわれていて、了承得てます。』
カテーテルで血管を広げ心拍は再開したが、心筋がほぼ自分の力では動けない。
補助人工心臓をする手術をすることが決まった。
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作者名：Lima
| 作成日時：2019年8月24日 23時
