発作の脅威（翔）14 ページ10
翔side
意識が浮上して目を開ける。
病室は暗く、外は雨が降っている。
もう夜遅いのだろう。
かなり寝ていた。
松岡先生達がいた時はまだ太陽の光が窓に当たって眩しかったぐらい。
「ふっ...ぁ...」
マスクで口が湿っぽい。
せっかく良くなってきていたのに...
それを邪魔するようにまた症状が襲ってくる。
回復したいって気持ちがあるけど、こうも色々あるとその気も薄くなってくる。
ピッ...ピッ...
様々な機械の音が響く病室。
それらは全て俺に繋がっていて自分が動くとそれらの動線も動く。
"お前はこれがないと生きていけない"
そう宣告されているように。
転院する時に名取先生が『翔先生またどこかでお会い出来るといいですね...医者として。』って言ってくれた。
次は患者じゃなくて、医者でって(笑)
倉庫の中は寒くて、苦しくて...
意識が無くなりそうの時も名取先生の声はしっかり聞こえていた。
ここで死ぬわけにはいかないって。
そんな事を考えていたら経験したことが無い胸痛に襲われて...気がついたら病院。
最初に声を掛けてくれた先生を見てこの人が俺の事救ってくれたんだって...
あまり話す機会は無かったけど腕はピカイチなんだろうなって。
生かしてくれたからには生きないといけない。
「くっ...」
悔しくて、悔しくて、
拳で両足を叩く。
悔しくて泣きたくなる。
でも、泣いたらまたモニターが鳴るから...
静かにポロポロと。
悔しい。
頑張ってみようかな。
悔しさぶち壊そう。
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作者名：Lima
| 作成日時：2019年8月24日 23時
