はじめまして、私 (ページ5)

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結芽『じゃあ私今日サークルあるから、また明日ねA！』

「うん！じゃあね」

今日は３限で講義も終わりだから、結芽も樹もサークルに、コーチは先輩とツーリングに行って私はバイトへ向かう。

「サークルかぁ…明日はどんなお菓子にしようかなぁ…」

茶道部に所属している私は、活動自体週に1度しかない事もあり、ほぼほぼサークルの日以外はバイトに明け暮れている。

大学1年の途中から始めたバイトは喫茶店。大学2年になった今ではまだ半年ちょいしか経っていないけど、優しいマスターと奥さんが夫婦で経営してるからか、まったりと過ぎていく時間が心地よくて、私は卒業まではここでバイトしたいと思っている程。
勿論、混み合う時間はまったりする間もないんだけどね。

さっきまでカランカランと次々に鳴っていたベルの音も落ち着いて、店内にはチラホラとサラリーマンの人やレポートをする大学生。

マスター『Aさん、今日はもう大丈夫そうだから上がっていいよ』

「ありがとうございます。すみません、お先失礼しまーす！」

奥さん『Aちゃん、今日は賄い用意出来なかったから、これどうぞ。甘いの大丈夫かしら？』

「え！甘いの大好きです！でも頂いていいんですか？」

奥さん『いいのよぉいつも沢山頑張ってくれてるし、これはほんの御礼よ。お口に合うといいのだけど…』

「私りえさんの作って下さるの全部大好きだから嬉しいですらありがとうございます！」

りえ『あら！嬉しい事言ってくれるじゃない！沢山あるから、良かったらお友達とかとも分けてね』

片手にトートバッグ、片手にりえさんの作って下さったマフィンの入ったケーキBOXを持ちルンルン気分で帰路に着く。

これ明日結芽達と分けようかなぁ

お気に入りの音楽を聞きながらそんな事を考えているといつの間にかアパートの下。

いつものようにエレベーターを待っていると、左後ろに人が並ぶ気配がする。

何の気なしにちら、と見るとお隣さん。

思わずイヤホンを外して「こんばんは」と声を掛けると、『こんばんは』と帰ってくる返事。

『今、帰りですか？』

「あ、そうです。バイト終わりで…」

『バイト…あぁ、だからケーキの箱を？』

それ、すごく嬉しそうに持ってらっしゃるので

という男の人。

『ケーキ屋さんとかですか？バイト先って』

「いや、喫茶店です。マスターの奥さんが持たせてくれて…」

『へぇ、喫茶店いいですね』

ﾎﾟｰﾝ

と、エレベーターの音