はじめまして、私 (ページ1)

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電車の改札を抜けて駅前のスーパーへ

今日の学食のハンバーグが美味しそうだったなぁ、なんて思いながら買い物をしていると、いつの間にかお肉コーナーの前へ向かう私の足。

「ありがとうございましたー」

なんて店員さんの声を背にお店を出る。エコだとか温暖化とかでレジ袋廃止へのご協力お願いします、とかいう世間の流れに合わせてちゃっかり百均で一目惚れした柴犬の柄のエコバッグ。

中には豆腐とパン粉と牛乳と合い挽き肉。とその他諸々。

ここからは約15分ほど行けば、私の城とも言えるアパートがある。学生向けの賃貸アパートだけど、私の通う大学から少し離れていることと、最寄りからも少し離れている上に周りは住宅街、おまけに築年数がそれなりに経ってる事もあって、住民もあまり若い子は住んでなくて私の右隣の部屋にはサラリーマンらしき男性が住んでてご近所トラブルとは無縁そうな所。

左隣はどうやら最近人が越してきたみたいだけど、まだ会ったことは無い。

あ、ここの家は今日はカレーなのかな

明日は雨かなぁ、あ、あそこの公園の花壇綺麗になってる。

…なんて、講義用のトートバッグとエコバッグを持ちながら夕焼けに照らされた住宅街を歩く私。

若干そんな世界観に浸りながら帰り道を進んでいくと見えてきた私のアパート。

近づいていくと、アパート入口の横で男女が話し込んでるのが分かる。…あの人たち、見たことないけど何であんな所で…

若干の気まずさを覚えながら横を通り過ぎようとした時

「悪いけど、ほんとそういう奴無理だわ、俺。」

「ち、違うの！そんなつもりじゃなくて、私…！」

お、おう…修羅場ぁ…

そ〜っと通り過ぎようとした時に聞こえてきた男の人の冷たい声。それに必死に弁明しようとする女の人。

え、こんな絵に書いたような展開本当に遭遇する事あるんだな。なんて呑気に考えながらエレベーターを待つ。

…でもここ入口からそんな離れてないから普通に2人の姿見えるんだよな…

ﾎﾟｰﾝなんて軽快に奏でるエレベーターの到着音。

助かった、なんて思いながらサッと乗り込んで扉を締めようとしたら入口からこちらに向かってくる修羅場の男の人…

「北斗！まってよ！北斗！」

なんて女の人の声に対して全く振り返らない男の人。あ、やば、何か目合っちゃった。そのまま男の人が乗った瞬間瞬時に閉まるボタンを咄嗟に押してしまった私。

…やば、閉めちゃった…しかもすごい気まず…