少女と秘密 ページ27
No side
また暫くの沈黙が車の中を満たした後、立原はあの臭いが気になり出した。
「やっぱり臭うな………何の臭いだ？」
ヒクヒク、と鼻を動かす立原。
それを見上げる云和麗は、もし元気だったならば可愛いと写真を撮りながら連呼していただろう。
しかし、怪我の激痛に例のアレの痛みでそれ所でない。
すると、運転手もその臭いに気がついた。
「？ この臭い………………………………あﾞ」
感づいた運転手。
訝しげに見る立原。
そして微妙に額に変な汗をかく云和麗。
この車に、本日三度目の沈黙が降り立った。
とても、とても気まずい沈黙が。
立原だけがその空気を理解できず、頭にはてなマークを浮かべている。
運転手は空気を読み、何も云わなかった。
…………………………。
「なぁ、これ何の沈黙だよ。百歩譲って姫は善いとしてよ、お前は何か云える事有るんじゃねぇの？」
立原が堪らず声を上げた。
云和麗は狸寝入りをした。
運転手は運転に集中するフリをした。
立原はどうしようも無くなったので云和麗を抱きしめた。
そこで、云和麗の非現実センサーが役目を終えた。
「うにﾞぁぁぁぁ！！！！？？？？ っていっでぇぇぇぇぇ！！！！！」
「うおぉぉぉぉ！？ いきなり叫ぶな！ そして暴れるな！ 傷口開………って開いてんじゃねぇか！！！ うぉぉい、病院まだか！？」
「あ、あと一分もすれば！ っあ、見えました！ ていうか姫、暴れないで下さい！ ハンドル取られて、横転、あっあっあっあっ」
一変。
車の中は阿鼻叫喚に。
云和麗一人が元に戻るだけで、此処まで騒がしくなれるのだ。
心なしか、立原の顔にも生気が戻ってきて居る。
騒がしい急患を乗せた車は、あっちへ行ったりこっちへ行ったり蛇行運転をしながら病院へと入った。
因みに、病院では織田作率いるさんこいちの皆が青筋を立てながら、しかし心配げに待っていた。
云和麗を横抱きしながら車から降りる立原。
そして担架へと云和麗を寝かせると、三人の元へ。
そして、頭を下げた。
「すんません。俺がもっと気をつけていれば、こんなことには………」
悔しさからか、悲しさからか、立原の手は震えている。
すると意外にも、安吾が１番に動いた。
立原の肩を叩き、顔を上げさせる。
そして。
「っ……………！？」
思い切り立原の横面を張った。
甲高い破裂音が響く。
そして一言叫んだ。
「謝っている場合ですかこの大馬鹿者が！」
．
文字数…(-_-ﾒ)
．
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 100人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
新マカロニ(プロフ) - みみ@こたぬきさん» はいー！ありがとうございます！お褒めいただき光栄です！みみ＠こたぬきさんに幸あれ！！ (2018年12月22日 13時) (
レス) id: 803b2655e5 (このIDを非表示/違反報告)
みみ@こたぬき - おもろ!!どしてこんな文才あるん??まじ羨ましいわー!!更新頑張ってな。楽しみにしとる〜 (2018年12月22日 13時) (レス) id: 3a7b075e71 (このIDを非表示/違反報告)
桜餅＠そらなー - 新マカロニさん» おｋ、おｋ！みたぜ！ (2018年11月3日 20時) (レス) id: 376d1601f9 (このIDを非表示/違反報告)
新マカロニ(プロフ) - 桜餅＠そらなーさん» 落ち着け餅よ。そして合作を本始動するぞい。詳しいことは更新した「神ミス重」にどぞ (2018年11月3日 14時) (レス) id: 803b2655e5 (このIDを非表示/違反報告)
桜餅＠そらなー - そらるさんとまふちゃんの最後がすこ。まふって、ああああああ(( (2018年10月13日 15時) (レス) id: 376d1601f9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：新マカロニ | 作成日時：2018年7月24日 16時
