その黒で包み込んで ページ11
闇魔法を用いて、このちいさなせんせーをころす。
――まぁ、闇魔法がどんな物かまだ全く知らないし、カミサマが言ってたように暴走しちゃう可能性も否めないけど、それでもメリットは少なくない。
第一に、多からず少なからず、闇魔法の情報(威力の大小、どれ位感情に左右されるか等)を得ることが出来る。
第二に、まぁ退学、最低何年か停学にして貰える。
第三に……そうだなぁ、まぁ万が一ころしてしまっても罪悪感が無い。
“遠慮無く実験台に出来る。”
にっこりと、唇の両端をはしたなく吊り上げて、滅茶苦茶に高揚した気分で十六夜せんせーの細い顎を持ち上げ、杖に手を伸ばす。
杖を目先に突き付けた瞬間、その大きな瞳が動揺にとろりと歪まって、あたしは物凄くうっとりとした気分になった。
「(そう言えば、呪文知らないや……)」
その事に気付いたのはこれまでに無いくらいの大きな魔力の流動が、指先に伝わってしまった後。
ああ。
アタシって、強かったのかな。
そう思ったのは、ふわりと優雅に浮かんだ黒い泡のようなものがせんせーの体を包んだ瞬間。
だって、あの母様でさえ魔法の発動に呪文の詠唱を必要とするのだ。無詠唱なんて、若しかしたら世界でアタシしか出来ないかもしれない。
数秒後その黒い泡はばちん、と弾けるような音を立て、消える。
そこにせんせーは居ない。肉片の一つすらも落ちていない。
……やっぱ、間違いなく強いわ。だって、月の民で、しかも三属性の中で一番強い闇魔法にステータス全振りしてたんだもん。
心の内で、くすりと嗤った。
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西夏(プロフ) - 綺麗な文ですね！ (2018年8月11日 13時) (
レス) id: 66c6e8cd96 (このIDを非表示/違反報告)
ましら(プロフ) - やはり、うたちゃんの文章は、日本の匠に作られたとても繊細で、太陽の淡い光を受けて佇んでいる硝子ｻﾞ細工が如く美しいよ。うたちゃんの文章をありがとう！ (2017年1月30日 16時) (レス) id: 512c5a6245 (このIDを非表示/違反報告)
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