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目覚め ページ2

「母様、おはよう御座います」

重たい瞼をごしごしと擦りながら、見慣れた後ろ姿に声を掛けると、母様は花の様な匂いを振りまきながらアタシの方を見た。

ーー現在三時三十五分。

頭脳、魔力、身体能力が異様に飛び抜けた、アタシの生まれ育つ、この月の民は上等な暮らしと引き替えに早朝から夜中までこの雪之国を守る義務が化されているため、朝が早い。

「ん、ああ、おはよう。俺はもうそろそろ家出るわ」

ばちこーんとウインクを飛ばしてくるものの、忙しいのか、リスみたく頬一杯に詰めた白米をもっきゅもっきゅと咀嚼しながらの為、まったく様になっていない。

「そうだ、今日の魔法定期試験がんばれな!」

母様が丁度白い髪をくるりと簪で巻き終わった時、こちらを振り向きざまそう言って、瞬間、アタシの顔は引き攣った。

「……善処いたします」

……善処。善処とは言うけれど、素質が無ければ善処したってどうにもならない。

さっき月の民は頭脳、魔力、身体能力が異様に飛び抜けているって言ったけれど、アタシは残念ながらそこにはあてはまらず……まぁ、つまり落ちこぼれってことだ。

頭脳やルックスには触れないで置くとして、魔法なんか特に非道い。

多分、橋の下で拾ってきたと言われても驚かない、と思ってる。

「定期試験、ね」

どうせまた最低評価を付けられて、また母親は優秀だったのにとか何とか言われるんだよなぁ。


……憂鬱……

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西夏(プロフ) - 綺麗な文ですね! (2018年8月11日 13時) (レス) id: 66c6e8cd96 (このIDを非表示/違反報告)
ましら(プロフ) - やはり、うたちゃんの文章は、日本の匠に作られたとても繊細で、太陽の淡い光を受けて佇んでいる硝子ザ細工が如く美しいよ。うたちゃんの文章をありがとう! (2017年1月30日 16時) (レス) id: 512c5a6245 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:暁月そら | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2017年1月29日 20時

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