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目覚めた女の子はまだぼんやりとした様子で女達からヤギのミルクで作った消化のいいスープを口に運んでもらった。
そうして、安心したかの様に直ぐにパタリと眠ったのは朝方の事だ。
交代で女達はつきっきりで子供の看病に追われた。
昼になると噂を聞きつけた村の衆が集まり、1人が声をあげた。
「昨日たがか、一昨日だかに反対っ側の村のお屋敷のご主人と娘が森へ入ったきりいなくなったらしい。」
その話を聞き第一発見者の男はただの村人にしては少しばかり身なりの良かった女の子に、妙に納得した。
すぐさま村の若い青年を反対側の村へと使いに馬で走らせた。
・
その日の午後、青年は降り積もった雪に足を引かれる事もなく無事に戻ってきた。見慣れない馬車を連れて。
木製で屋根のない馬車は王室や上流貴族のものより貧相ではあったが、それすら見慣れない村人達は大騒ぎだった。
馬車が止まると直ぐに若い娘が降りて一目散に走った。それが女の子の世話役だった。
「お嬢様！」
女の世話役は目にいっぱいの涙を浮かべて暖炉の前で火に当てられていた子供を呼んだ。
ゆっくりと振り返った女の子は「アンネ」とその名前を呼ぶと世話役はキツく女の子を抱きしめた。
あとからぞろぞろと続いて家の者が女の子を取り囲み、村の者もホッと息をついた。
家の者達は女の子無事を喜ぶと、白い頭と髭をした年配の男が直ぐに向き直る。
「お嬢様、旦那様は……お父様はどうされたのですか。」
少女は虚ろな瞳で首を振った。
それを見て綻んでいた使用人達の顔はたちまち悲しみに染まっていく。
「そう、そうでしたか。お辛い思いをされましたね…申し訳ございませんお嬢様。
あの日足を引きずって馬だけが屋敷に戻って来たので総動員で森を探したのですが見つかりませんでした。」
お嬢様だけでも無事で良かった。震える声でそう言って泣きながら抱きしめられても少女はずっと虚ろだった。
「おたくのお嬢さんは森の境目に座り込んでいた」と言われると涙で顔を真っ赤にした膨よかな女の使用人が「そんな訳ないです！」声を張り上げた。
「森の反対側まで お嬢様が歩けるはずが…。」
ついつい出た声のボリュームを絞りながら、女は困惑しきった顔で言った。
「妖精さんが、助けてくれた。
パパを連れて行っちゃったの。」
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お餅 - いつの日かの更新再開を勝手ながらお待ちしております！諸事情色々ありますものね。季節の変わり目なので、お体に気をつけて、ご自愛下さいね。では。 (2019年9月7日 18時) (携帯から) (
レス) id: 9ca718c93e (このIDを非表示/違反報告)
お餅 - え？、終わり？…ですか？残念です…。 (2019年9月7日 13時) (携帯から) (レス) id: 9ca718c93e (このIDを非表示/違反報告)
月華(プロフ) - お餅さん» ありがとうございます。他の物も気に入って下さったなんて、嬉しいです！ご期待に添えるようにこれからも頑張りますね！ (2019年5月24日 23時) (レス) id: 6e02d7f948 (このIDを非表示/違反報告)
お餅 - コメント返しありがとうございます！葬儀屋の秘密二作も読ませていただきましたが、実写かアニメのように鮮明に画が頭に浮かび素晴らしかったです！凄い文才ですね！更なるご活躍期待してます！ (2019年5月24日 19時) (携帯から) (レス) id: 9ca718c93e (このIDを非表示/違反報告)
月華(プロフ) - お餅さん» コメントありがとうございます！なかなか手が空かず更新は遅いかと思いますが、そう言って頂けると私も書くのが楽しいです。ありがとうございます！ (2019年5月21日 19時) (レス) id: 6e02d7f948 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ろん | 作成日時：2019年5月14日 23時
