箱庭 (ページ47)

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模倣犯ページ47

話だけを聞くと犯人は遊びでやっているように聞こえるが、実際に黒い服装の男性が女性をスタンガンで気絶させわいせつ行為を行う事例もあるため看過することもできない

まるで警察から逃げることを遊びだと思っているのか、と考えて実際にそういうゲームの存在があったなあと思い出す

『まるでハイパーゲームの模倣ですねぇ…』

「ハイパーゲーム?」

マグカップ2つに淹れたコーヒーを伊吹くんに渡すと頭上に疑問符が浮かんでいた

タブレットを使って九重さんがそのゲームを立ち上げて説明してくれる。ハイパーゲームの元はナウチューブが発祥かもしれない逃走ゲームだ

元物は既に削除され、代わりにネットで公開された新なゲームがハイパーゲーム。伊吹の手元で遊ばれるそれはプレイヤーが通報し、パトカー、つまりは警官から逃げ切れば勝ちという内容

陣馬さんにコーヒーを渡せば苦い顔でそれを啜った

「これをなあ、本物の警察相手に実際にやってやがるんだ!スリルを楽しむんだと」

「スリル?暇なやつらだなあ」

「ははっ、俺よりバカ」

『傍迷惑な話ですねえ』

確認し終わった備品を棚に運ぶべく箱を持ち上げると志摩さんが持つよと2つのうち1つを持っていった

志摩さんよりも力はあるので大丈夫なんだけどなあ

「通報は毎回公衆電話。いたずらだろうがこっちは確認せんわけにはいかんからなぁ!」

「で?そいつ足早いの?」

「これまでの警察官はみーんな逃げ切られてます」

「ふーーーん」

備品箱を棚に納めていると九重さんの逃げ切った発言が気にかかった
訓練を受けている警官の足を越す速さを持っている逃走犯

『足の早いプロ、大人……が警察相手にやる確率は低いだろうし、子供がやるとしても…』

持ちうる知識を使っていたずら相手の意図を掴もうとしていると呟きを拾われたのか、志摩さんがじっと見下ろしていた

『あらら、すみませんつい』

「……いや」

高いところに置くために志摩さんが持っていた棚を置いてくれた。助かります

「ゲームだよ、ゲーム!んなもんがあるから真似するやつが出てくるんだよ。んなもん全部まとめて規制しちまえば良いんだよ」

「そんなこと言ったら推理小説だって規制の対象になります。問題なのはゲームじゃなく、実際に仕出かすやつです」

『それに規制なんてしちゃうと売上の問題で経済が回らなくなる可能性もありますよ』

また、規制することにより政府への反発が起こり下手すれば暴動なんかにもなる
嫌な連鎖だ。ほんと