箱庭 (ページ41)

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うどん屋ページ41

街中を回って10分ほど、なんとか見つけたうどん屋にメロンパン号を停めて3人で座敷へ上がった

座る位置についてひと悶着あったが、結局伊吹さんの向かい側に志摩さん。その隣に私という座席で落ち着いた(伊吹さんはかなり膨れっ面で納得していなかったが)

しかし給仕によって運ばれてきたうどんを食べ始めると最早そんな些細なことはどうでもよくなったのだ

「にしてもさあ～、Aちゃんそのさんって止めようよ、なんかこう…ムズムズする!」

『えっ?』

うどんを食べ進めていると伊吹さんが唐突に切り出したさん。話の意図が読めなくてさん、3、三と色々なさんに纏わる話を浮かべる

心当たりがなくて目線を泳がせる私に志摩さんが主語がない、主語。と伊吹さんに助言を与えた

『ごめんなさい伊吹さん、何のことか』

「その伊吹さんってやつ!なんか、言われる度にぞわってしちゃうから止めよう?」

「それはお前の勝手だろ」

『ぞわぞわ……。じゃあ伊吹、くん?』

呼び捨ては流石に憚れた。それならと妥協案でくん付けで伊吹さんを呼んでみれば興奮ぎみにめっちゃ良い!とパタパタ見えない尻尾を振っていた

「志摩ちゃん聞いた?めっっっちゃ心にきたんだけどねえ」

「良いから食え」

「てか志摩ちゃんもAちゃんのこと名前で呼べばいーじゃん。ねぇ?」

「接続詞どうなってんだお前…」

『あらあら、私は一向に構いませんよ?』

うどんを啜っていた志摩さんがは?と目線だけを寄越すので同じような顔をして返す

『陣馬さんに言ったとおり、小鳥遊は二人いますから……あと、敬語も大丈夫ですよ?志摩さん今日は途中から抜けてましたし』

完全に無意識だったのか隣から小さめな声でマジか…と呟いている志摩さんにくすりと笑ってうどんを啜る
うん、おいしい。あったかいものは心を豊かにさせてくれるなあ

伊吹さん…くんが言った手前、言いにくいのかまあ追々。とだけ告げた志摩さんに伊吹くんからえー、と文句が飛ぶ

『まあ無理のない程度に呼んでくださいね』

「志摩ちゃん女の子に気を遣われるってどうなの?」

「気を遣われる原因の8割はお前だ」

「うわあ、理不尽」

うどんを食べるペースは遅くないのに、それでも喋る余裕がある二人にこれが404の常なのだと改める

こうも騒がしく、賑やかな職場は初めてでなんというか毒気を抜かれる。けれどまあ、それも良いのかもしれないと思う自分がいた