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疲労の末 ページ41

刀が折れるか、殻を破壊するか。早くしなければ鬼の頸が元に戻ってしまう
焦燥が募る一方、何処かでAは今度こそ鬼を殺せると確信めいていた

長年の勘、というものか。実に確信のもてない不明瞭なものだ
くすりとこの場に相応しくない笑みが溢れると殻の表面に亀裂が刻まれる

いける。直感から一度飛び退き助走をつけて日輪刀を突き刺した

刹那、罅割れは徐々に広がり殻を破ると勢いのまま鬼の頸を冨岡とAが同時に斬り捨てた

互いに交差するように場所を交代し、直ぐ様鬼の消滅を確認するために背後を振り返る
地面に落ちた頸が憎らしげに喚き散らす姿に安堵の息が漏れた

「おのれ……よくも、よくもやりよったなあ!!」

ぎょろりと零れ落ちんばかりに目玉を剥き出し二人を交互に睨み付ける鬼の姿
憎悪に満ち溢れたそれは呪詛を吐く如く罵詈雑言を呟く

体の限界を超えていたAは膝を折り、冨岡も木を背に凭れている。完全に鬼に気を配る余裕などない

『……冨岡はん、生きとります?』

「……ああ」

『かろうじて、が語尾に付きそうな声やこと』

常人であれば命を落としても可笑しくない怪我を負っているものの、会話を繋ぐことはできる気力は微かに残っている

終わった。疲労感に苛まれ女は瞼を下ろした
このまま眠ってしまえそうな安堵感があったのだ
冨岡は目を閉じたAの姿に一瞬、息を失った。その姿はさながら死人と間違えてしまうほど儚く美しい

月の眼下に晒された白い肌は血色が悪いようにも感じ木に凭れていた体を無理矢理起こす
ぴくりとも動かぬ女に胸の辺りがざわついたのだ

「…おい、」

巡桜と続く声は喉の奥へと引き戻された

刹那、地面を這って現れた鋭利な何かがAの体を貫こうと飛んできたからだ

どこから、二人がその気配に気づいた時には遅く、Aが避けられる猶予は残されていない


間に合わない、殺される。
はっとして瞼を持ち上げた途端、女は悟った

転げた先に絶望→←滅殺への一歩



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蜜柑(プロフ) - あいうえおさん» 誤字指摘ありがとうございます…まさか主人公である彼の名前を間違えるとは申し訳ありません…… (2019年6月24日 23時) (レス) id: f7e2178304 (このIDを非表示/違反報告)
あいうえお - すいません。「炭次郎」じゃなくて「炭治郎」ですよ。 (2019年6月24日 22時) (レス) id: d4ea0d195c (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑(プロフ) - やよいさん» コメントありがとうございます…!やよいさんの作品も閲覧させていただいているので作者様からそう言ってもらえて嬉しいです! (2019年5月20日 17時) (レス) id: f7e2178304 (このIDを非表示/違反報告)
やよい(プロフ) - はあ、、もう面白すぎです。。文才神がかってます。。大好きです。 (2019年5月20日 0時) (レス) id: 7302d83944 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:蜜柑 | 作成日時:2019年5月6日 10時

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