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処遇 ページ21

「顔を上げなさい二人とも」


永遠に続くと思われた沈黙は主である産屋敷の一言で破られた
その声音には刺々しい鋭さも無ければ、厳格な厳しさも乗っていない

恐る恐る上体を起こせば二人の剣士が起き上がる様を穏和な微笑みで見届ける男の顔があった

「二人の覚悟がどれ程の物か、よくわかったよ。隊律を侵しても尚、彼等を生かしたいことも」

声音同様柔らかく笑む産屋敷の底知れぬ嫋やかな本性にAは薄く笑った
全く、ここまで心情を覆い隠せるほどの器には一生を賭けても無理であろうな、と

「A、君が己の時間を無駄にするとは考えられない。それほど、彼等に何かを感じたのかい?」

『……感じた、というか。漠然とどすが、彼等には長きに続く鬼との闘いの止まっていた時を動かす…そう見えた気がします』

長年に続く鬼と鬼殺隊との闘いは一向に鬼殺隊が押されている
下弦の鬼を何度も屠ってはいるものの、上弦は未だ討ち取れた例が100年も前の話である

現状の鬼殺隊が弱いのではなく、年月を重ね、人を喰らえば鬼は強くなっていくのだ。当然ながら時間が経てば勝算も落ちる

鬼の首を落とすその刃が、鬼舞辻…鬼の頂点に君臨するあのモノへと届く希望が微かに炭治郎から見えたのだ

「義勇は規律を破らないような剣士だからね。それも相まって、二人にそこまでさせる兄妹が気になってしまうよ」

童心に返ったよう口の端を上げ笑う産屋敷の姿に最早二人の処罰は決まったも同然
お咎めは無さそうな雰囲気に緊張は紐解かれた

その証拠に隣の冨岡の膝上に握られた武骨な手の力が緩んだのをAは見逃さなかった

「このことは暫くは公言しないように。鬼殺隊に混乱を招くからね」

『「御意」』

柱二人が鬼を不殺。これは鬼殺隊の規律さえも揺るがす事態だ。更に産屋敷本人が容認している

今の炭治郎と禰豆子が隊士に認められる存在なのかと問われれば火を見るより明らかだ
禰豆子は人を殺さないのか、根拠も何もない二人だけの勘で容認されるほど、甘くはない

いつか、鬼を連れた隊士の存在が容認されるその日まで、彼等を黙認することに決めたのは正しい

それら全てを踏まえ産屋敷の前に鎮座する二人は同時に再び頭を下げた

他に通ずるは信仰か→←お呼びだし



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蜜柑(プロフ) - あいうえおさん» 誤字指摘ありがとうございます…まさか主人公である彼の名前を間違えるとは申し訳ありません…… (2019年6月24日 23時) (レス) id: f7e2178304 (このIDを非表示/違反報告)
あいうえお - すいません。「炭次郎」じゃなくて「炭治郎」ですよ。 (2019年6月24日 22時) (レス) id: d4ea0d195c (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑(プロフ) - やよいさん» コメントありがとうございます…!やよいさんの作品も閲覧させていただいているので作者様からそう言ってもらえて嬉しいです! (2019年5月20日 17時) (レス) id: f7e2178304 (このIDを非表示/違反報告)
やよい(プロフ) - はあ、、もう面白すぎです。。文才神がかってます。。大好きです。 (2019年5月20日 0時) (レス) id: 7302d83944 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:蜜柑 | 作成日時:2019年5月6日 10時

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