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頼みごと ページ2

時は大正、時代の変わり目ともなるであろう時代

巫女服姿の女はゆらゆらと自身の袖を揺らし庭先へと立つ
部屋の中では待っていたと言わんばかりに上体だけを起こし布団から起き上がる男

「すまないね。態々此方まで出向いてもらって」

『いややわお館はん。謝られる筋合いはうちにはあらへんのに』

草履を脱いでは座敷へと上がればお館…産屋敷耀哉は小さく噎せる
心配はいらないと首を振る目の前の男に女は少し眉を寄せた

程なくして咳が止まると困ったように彼は笑んだ

「Aよりも一足先に出雲に行ってしまいそうだ」

『せやったらうちをお供に』

「それはできないなあ」

『残念』

皆してそう言うものだから、狡い人。Aと呼ばれた女が憎たらしげに諦めたようにも息を吐けば産屋敷の眉を下げられてしまう

『それで?うちを態々呼びつけた理由、何かあるんとちゃいますの』

上手い具合に話の流れを変えたかと問われれば答えは否だ
未だ困り顔の産屋敷だが、ここで話を戻せばAからの流れの変更を台無しにすることになる

甘んじて受け入れる彼は流石だねとゆっくりと頷いた

「実はAに面倒を…と言うより、気にかけてほしい剣士がいてね」

『それはまた……随分なお話やこと』

そのまま受け取ってしまえば継子をとれ、そう言っているようにも聞こえる産屋敷の言葉だが、Aはそうではないと踏んだ

継子に関して産屋敷は口出しをしない。特に相手がAとあれば

『……けんど、うちは気にかける程の余裕も生憎と持ち合わせてへんしなあ…お館はんのお願いやし、断りとうもないし…』

「ずっと側にいてとは言わないよ。時折で良いんだ」

それならば…と渋々唸った後、返答を返すAに産屋敷はありがとうと柔らかく笑う
対称的にAは首を傾げた

『了承したのはええけど…誰を気にかけておけば?』

「嗚呼、そうだった。肝心の彼について言っていなかったね」


まだ見ぬ彼について、産屋敷から話を聞いていれば寒さは増し、雪が降り始めていた

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蜜柑(プロフ) - あいうえおさん» 誤字指摘ありがとうございます…まさか主人公である彼の名前を間違えるとは申し訳ありません…… (2019年6月24日 23時) (レス) id: f7e2178304 (このIDを非表示/違反報告)
あいうえお - すいません。「炭次郎」じゃなくて「炭治郎」ですよ。 (2019年6月24日 22時) (レス) id: d4ea0d195c (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑(プロフ) - やよいさん» コメントありがとうございます…!やよいさんの作品も閲覧させていただいているので作者様からそう言ってもらえて嬉しいです! (2019年5月20日 17時) (レス) id: f7e2178304 (このIDを非表示/違反報告)
やよい(プロフ) - はあ、、もう面白すぎです。。文才神がかってます。。大好きです。 (2019年5月20日 0時) (レス) id: 7302d83944 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:蜜柑 | 作成日時:2019年5月6日 10時

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