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Q ページ10

『敦くん……』


「立つんだ」


久作と対峙していた時も彼の側に寄り添っていたがその体の震えは私では解消できるものではなかった

力を持つことは、誰かを傷つけることも簡単になってしまう

守る為に力を奮った筈なのに実は人を傷つけていました。なんて恐ろしい話だ


「僕は駄目だ………僕は居ちゃいけなかったんだ………」


自己嫌悪に陥る敦くんにどこか既視感を拭えない
そう、自分を呪うように存在を否定していたのは誰だっけ

嗚呼、紛れもない自分だ


「敦君」


一度、彼の名前を呼び未だ涙を流す敦くんの顔を上に向けると太宰さんは右手で、

敦くんの頬をひっぱたいた


ぱん。と乾いた音に私も叩かれた敦くんも目を見開くのも気にせず太宰さんは告げる


「君から過去を取り上げる権利は私にはない。だが、偶には先輩らしい助言をしよう」


太宰さんは真摯に敦くんに向き合うと云う


「自分を憐れむな。自分を憐れめば、人生は終わりなき悪夢だよ」


「……………」


太宰さんの助言が敦くんの心に響いたのか、判りはしないが、涙は止まり彼自身が歩き出せそうな様子だ

矢張、太宰さんは凄いなあと感心しつつ私は敦くんに手を差し出す


『ごめんね先刻は。顎蹴ったりして』


痛くなかった?と問えばぽつり彼は呟く。如何してってね

太宰さんや乱歩さんが私を危惧する理由が一寸だけ理解できたかもしれない。大事な仲間だからだよと笑む


「……、僕は……僕はAさんの手を…」


『握ってくれないの?』


まだ思い詰めているのか敦くんは中々手を取ってくれない
なので、私が彼の手を取って立ち上がらせた

揺れる双眸に安心させるよう笑ってみせる


「さぁ、そろそろ反撃といこう。こちらも手札を切るよ」


『手札って……何をする心算ですか?』


ナオミちゃんは敦くんに任せて、頭を押さえる春野さんの背中を撫で落ち着かせつつ、疑問を述べれば彼はにやりと口角を上げる


「この戦争に政府機関を引き摺り込む」

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蜜柑(プロフ) - かりんとうさん» コメントありがとうございます〜1から読んでもらって書いた本人としても嬉しい限りです…!更新は不定期ですが出来る限り尽力していきたいと思います。これからもよろしければ応援のほどよろしくお願いいたします! (2019年5月6日 12時) (レス) id: f7e2178304 (このIDを非表示/違反報告)
かりんとう(プロフ) - 1から読みました。本当に面白くて面白くて、読み進める手が止まりませんでした笑こんなに素敵な作品があったとは……!これからも更新楽しみにしています!!頑張ってください! (2019年5月6日 12時) (レス) id: f31ecb66db (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑(プロフ) - イエさん» コメントありがとうございます…何故だか完結したことになっておりますが続けていきたいと作者本人は思っております…!更新は今停滞気味ですがこれを機に更新していきたいと思います〜… (2019年5月5日 8時) (レス) id: f7e2178304 (このIDを非表示/違反報告)
イエ - お、終わり?面白かったのに…頑張って更新してください!お願いします! (2019年4月29日 23時) (レス) id: e962cbea86 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:蜜柑 | 作成日時:2019年1月5日 14時

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