命を燃やして叫んでる 参

頭は間違うことがあっても ページ28

国木田さんにQの異能の症状が顕れ、このままでは不味いと太宰さんに敦くんと合流するようにと指示を得た


道中に転々と卵形の物体を置いていくように云われたがこれは何だろうかと考える暇もない
何せ街中は住民による悲鳴で覆い尽くされ残響を残す


横浜の街が死街と呼ばれるのも遅くないだろう


(敦くん、太宰さんは白鯨から落ちてくるって云ってたけど……大丈夫かな)


ひび割れたコンクリートを蹴り避難する住民とは逆へと進む
陥没した地面を軽々と飛び越え急いで駆け巡る


パラシュートか何かで降りるとしても組合の連中がそう簡単に逃がす訳がない、が太宰さんが落ちると云ったのだ。信じよう


ふと、近くから狙撃音が多々耳に流れ込む。ポートマフィアの所持する武器の発砲音ではないそれは目線を上げてみれば上空から降っているではないか


もしかすると、敦くんが追われているのかもしれない
一抹の希望を抱きそちらへ向かうため角を曲がろうとしたその時、衝撃が走った


『っ、!』


「いたっ!!……って、Aさん?」


ごちん、と良い音が鳴ったと思えば額に感じる痛み
一週間ぶりに聞く声は驚きに満ちている


『あ、敦くん……良かった、無事みたいだね』


ひりひりと痛み出す額につい涙目になりつつ再会を喜ぶ
怪我は……まあそこまで酷くなさそうだね。良かった


『それより、此処に停滞してるのはまずい。今は早くそれを太宰さんに届けよう』


ちゅん、と顔すれすれに弾丸が降ってきたので此処は危険だと私が先行して敦くんを導く

太宰さんはこの先だ

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