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砕け散りし海辺に ページ19

却説、ここからどうやって敦くんを逃がすか考えなければいけない


ダフニーを引き付けるのは任せてと云ったものの、フィッツジェラルドを相手にするには今の私では難しいだろう


(協力者がいてくれれば最良………)


誰かを呼ぶにしても探偵社に国木田さんや谷崎くんがいるとも限らない
携帯を使うのは無理。二人に気づかれる


こっそりと頸を捻り誰かいないかと目を動かす
すると、反対方向に見覚えのある黒髪の少女


(きょ、鏡花ちゃん………)


何日ぶりだろうか。彼女は姐さんが捕虜になったあの日から姿を眩ましていたようだったが

驚く私を見つつ鏡花ちゃんは懐に触れる
そこは恐らく懐刀があるのだろう

その意図を汲み私は微かに首肯く


気配を消す。殺気も存在感も何もかも自分を形成するもの凡て
殺しで得た技術の1つがこんな時に役に立つとは皮肉なものだ


ゆっくり、息を潜めて体を起こす
大丈夫。まだ気づかれてない


そっと一歩、一歩と足音を消しダフニーの背後に回る
人一人分だけ空けて片足をずり下げてから持ち上げる
一回転させたら軸となるもう片方を頸に目掛けて蹴りを入れる


『………っ、おらよっ!!』


後は簡単。力任せに飛ばしたい方向へ蹴り飛ばせばいい

流石にフィッツジェラルドも突然目の前にダフニーが消えれば驚愕もするだろう

まあ彼は鏡花ちゃんに任せて私はダフニーの元へ駆ける……こともなく距離を取る


地面を転がっていた彼は突然の奇襲に意外にも即座に対応しているようだ


「仲間を捨てて逃げる心算か…!?」


『いいや、違うよ』


これ以上の異能力の使用は私が睡魔に負けてしまうから勘弁したい
だが、二人を逃がすにはやむを得ない

川と並走しながら口を開く


『“渡し船”』


橋の下を船が通っていく。鏡花ちゃんは対峙するフィッツジェラルドを他所に敦くんを連れそれに乗った

飛び降りる瞬間、心配でもしていたのか目が合った。大丈夫、大丈夫


「……思った以上に厄介だ。言霊使いというのは」


『そりゃどうも、でもこの程度横浜では普通ですよ』


「ほお……それは又面白い」


標的が一人いなくなったらもう片方を狙うのが自然の道理
後ろはダフニー前はフィッツジェラルド。はてさて、どうやってこの場を切り抜けようか
なんて私が考える必要はないけれど


『そうそう。そいつ位の強者山ほどいるぜ』


「お前は……!」


余裕綽々な笑みを浮かべ見た目に削ぐ和ぬ煙草を燻らせる元相方が一人

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蜜柑(プロフ) - かりんとうさん» コメントありがとうございます〜1から読んでもらって書いた本人としても嬉しい限りです…!更新は不定期ですが出来る限り尽力していきたいと思います。これからもよろしければ応援のほどよろしくお願いいたします! (2019年5月6日 12時) (レス) id: f7e2178304 (このIDを非表示/違反報告)
かりんとう(プロフ) - 1から読みました。本当に面白くて面白くて、読み進める手が止まりませんでした笑こんなに素敵な作品があったとは……!これからも更新楽しみにしています!!頑張ってください! (2019年5月6日 12時) (レス) id: f31ecb66db (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑(プロフ) - イエさん» コメントありがとうございます…何故だか完結したことになっておりますが続けていきたいと作者本人は思っております…!更新は今停滞気味ですがこれを機に更新していきたいと思います〜… (2019年5月5日 8時) (レス) id: f7e2178304 (このIDを非表示/違反報告)
イエ - お、終わり?面白かったのに…頑張って更新してください!お願いします! (2019年4月29日 23時) (レス) id: e962cbea86 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:蜜柑 | 作成日時:2019年1月5日 14時

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