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砕け散りし海辺に ページ17

私の知る彼は幼少時、死んでいた筈だ
それなのに何故彼は成長した姿で再び私の眼前に現れたのだろうか


その疑問に応えるように彼は面白可笑しく笑っている


「随分と可笑しな顔をしてるな。そんなに気になるのか?オレが生きていることに」


『それは…気になるに決まってる。だって、貴方は死んだんじゃ……』


「ああ。そうだよ。お前たちに殺された」


『……っ』


ぎろりと睨む双眼に宿るは醜悪、憎悪、嫌悪、非難、様々な負の感情だ
久しぶりに向けられるその感情に息を呑んだが逆に冷静にもなれる


「だが、裏切者のお前に教える権利はない。……まあ、裏切ったのはアイツだが」


『裏切り……ねえ。私にとっては救済だよ』


「巫山戯たことを。オレたちは彼処に居ることで生きる意味を持つ、それから逃げ出すのは実に愚かだ」


『あんな箱庭が世界の凡てだと思ったら大間違いだよ』


互いの持論に交わる様子は全くない。無理もないだろう、私達は対局なのだから


「……埒が明かない。本題に入るとするか」


呆れたと息を吐くとダフニーは片手を振り翳す
空中に現れた赤く丸い球体は曲線を描いて迫ってくる

弾丸を顕現させ撃墜を狙うが破裂

飛び散る液体が地面を赤く汚すとコンクリートが溶けていく


(強酸………、いや匂いから有毒か)


果実をぽんぽんとテンポ良く生み出し降らせるので中らない具合で潰していく

辺り一面が血で汚れるようだ


「へえ………以前よりも動きが早い。この程度何ともないか」


『諦めてくれるのが此方としても助かるんだけどっ』


追尾してくる果実から逃げ乍敦くんの様子を確認する

戦況は不利、フィッツジェラルドに押されているのは火を見るより明らか


(早く加勢しないと……彼奴の狙いは敦くんだ)


彼の元に行くには目の前のダフニーを倒す他ない
だが彼がそう簡単に倒されるかと問われれば否


(……それなら)


くるりと振り返り眼前に迫る幾つもの果実と向き合う
毒々しい色のそれは見た目から凶器だ


『“槍”』


使い慣れた槍を顕現しじっと待つ
まだ、まだ動かない。好機は果実が触れるか否かの境界だ

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蜜柑(プロフ) - かりんとうさん» コメントありがとうございます〜1から読んでもらって書いた本人としても嬉しい限りです…!更新は不定期ですが出来る限り尽力していきたいと思います。これからもよろしければ応援のほどよろしくお願いいたします! (2019年5月6日 12時) (レス) id: f7e2178304 (このIDを非表示/違反報告)
かりんとう(プロフ) - 1から読みました。本当に面白くて面白くて、読み進める手が止まりませんでした笑こんなに素敵な作品があったとは……!これからも更新楽しみにしています!!頑張ってください! (2019年5月6日 12時) (レス) id: f31ecb66db (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑(プロフ) - イエさん» コメントありがとうございます…何故だか完結したことになっておりますが続けていきたいと作者本人は思っております…!更新は今停滞気味ですがこれを機に更新していきたいと思います〜… (2019年5月5日 8時) (レス) id: f7e2178304 (このIDを非表示/違反報告)
イエ - お、終わり?面白かったのに…頑張って更新してください!お願いします! (2019年4月29日 23時) (レス) id: e962cbea86 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:蜜柑 | 作成日時:2019年1月5日 14時

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