砕け散りし海辺に ページ16
「それにしても……本当に遅いですね。太宰さん」
連絡のない携帯をカパカパと開いたり閉じたりと敦くんは暇をもてなす
彼と別れてからどれほど経っただろうか。安吾とドライブに興じている筈だが…あまりに遅すぎる
(何かあったとか………?組合からの刺客とか)
あの人が簡単に死ぬとは微塵も思ってはいないがこうも連絡がないと心配で仕方がない
『さすがに遅すぎる……先刻から連絡いれてるけど反応もないし』
「困りましたね……」
『うーん………私、探してくるよ』
待ち惚けも退屈だし、と手摺りから離れてからそれに気がついた
『……………』
「Aさん?」
肌にひりつくような視線。それは殺気にも似た痛みを含みすぐに周囲を警戒する
それらしき姿はない
(気のせい、と思うには無理がある)
人物の特定に行きたい訳だが、この状況で敦くんと共に行動するのも良くないし単独行動はもっと危険だ
「待たせたかな」
思考の波に身を投じていると太宰さんに似た口調が聞こえる
が、声からしてどう考えても太宰さんではない
すかさず口を開いた途端、視界の端で赤く丸い何かが此方へ飛んでくるのが映った
(あれは、真逆)
手で触れてはいけないと即座に回避しようとした体は不意に強い力で宙を舞った
「金と優秀な部下を持つものにとっての強敵は暇だ。こればかりは金でも異能でもどうにもならん」
「Aさん!」
フィッツジェラルドの声に反応する暇もなく、上手いこと体を立て直し地面に着地すれば私を投げ出した本人の足音が迫っていた
何処か毒々しい濃い紅色に爛々とした瞳は似て非なる
「やぁ、久しぶりだね。サビア」
『…………ダフニー、』
「いや。今は室生A、だったか」
何故、生きているのか
目を見開く私に対して目の前の彼は知っていたと云わんばかりに口の端を吊り上げている
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蜜柑(プロフ) - かりんとうさん» コメントありがとうございます〜1から読んでもらって書いた本人としても嬉しい限りです…!更新は不定期ですが出来る限り尽力していきたいと思います。これからもよろしければ応援のほどよろしくお願いいたします! (2019年5月6日 12時) (レス) id: f7e2178304 (このIDを非表示/違反報告)
かりんとう(プロフ) - 1から読みました。本当に面白くて面白くて、読み進める手が止まりませんでした笑こんなに素敵な作品があったとは……!これからも更新楽しみにしています!!頑張ってください! (2019年5月6日 12時) (レス) id: f31ecb66db (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑(プロフ) - イエさん» コメントありがとうございます…何故だか完結したことになっておりますが続けていきたいと作者本人は思っております…!更新は今停滞気味ですがこれを機に更新していきたいと思います〜… (2019年5月5日 8時) (レス) id: f7e2178304 (このIDを非表示/違反報告)
イエ - お、終わり?面白かったのに…頑張って更新してください!お願いします! (2019年4月29日 23時) (レス) id: e962cbea86 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蜜柑 | 作成日時:2019年1月5日 14時