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ウィル・オフ・タイクーン ページ13

近くを通りかかったので鯛焼屋で二つほど餡の詰まった鯛焼を買い、橋付近へを歩く
一つを紙袋から取り出し食べてみるが美味しい


寄った鯛焼屋は乱歩さんが贔屓にしている所だと聞いていたので美味しいのだろうと予測してはいたがここまでとは…


餡以外にも色々種類があったので今度買ってみたいなと思いながら敦くんを発見した


『敦くーん』


太宰くんを待つ敦くんは携帯片手にぼんやりと川を眺めていた
私の声に反応すれば申し訳なさそうに眉を下げるのだ

疑問に思いつつ彼の隣に立てば早々、何故か今にも泣いてしまいそうだ


『メール、見たよ。謝りたいなんて律儀だねぇ。私は謝ってほしいなんて云ってもないよ』


「それでも……僕は、自分を許せないんです」


膝を折り、地面に頭を付ける……正しく土下座の体勢に入ろうとする敦くんに流石に驚き咄嗟に肩を掴む


『敦くん、謝らなくていいからっ、土下座は流石に色々まずいよ!?』


「本当に……すみませんでした」


こんな公共の場で土下座なんてされたら民衆の目が怖いわ


(……でも敦くんは周りを気にする余裕もないんだろう。それだけ自己嫌悪に陥ってる……私はこれっぽちも気にしてないんだけどなあ)


死んでないし、第一死ねない。だったらそれで良いじゃないかという訳にもいかないのが敦くん本人の意見だ

はて、困ったものだ


『うーん……』


頭を上げてもらいたいが聞く耳なしときた
それならば、まずは落ち着いてもらうのが一番だろう


ふと、自分の片手に紙袋を抱えているのを思い出す

一緒に太宰さんを待つのでついでに食べようかと思って買ってきた鯛焼である


がさがさと漁り、手に取った一個はまだ暖かい


『敦くん、顔上げようか』


「……僕には、頭を上げる資格も……」


『いいから、いいから』


一向に上げる気配がないのでしょうがないと無理やり彼の首根っこを掴み上を向かせる
向いた瞬間を狙って口に鯛焼を突っ込んでみる


「ふがっ!?」


『浪花屋って所の鯛焼。美味しいって乱歩さんから聞いてたからお裾分け〜』


もぐ、もぐと咀嚼している敦くんに美味しいか訪ねてみれば戸惑いつつも頷いてくれた

暖かいものは心を落ち着かせると云うし、出来立ての鯛焼は丁度良かったかなあ

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蜜柑(プロフ) - かりんとうさん» コメントありがとうございます〜1から読んでもらって書いた本人としても嬉しい限りです…!更新は不定期ですが出来る限り尽力していきたいと思います。これからもよろしければ応援のほどよろしくお願いいたします! (2019年5月6日 12時) (レス) id: f7e2178304 (このIDを非表示/違反報告)
かりんとう(プロフ) - 1から読みました。本当に面白くて面白くて、読み進める手が止まりませんでした笑こんなに素敵な作品があったとは……!これからも更新楽しみにしています!!頑張ってください! (2019年5月6日 12時) (レス) id: f31ecb66db (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑(プロフ) - イエさん» コメントありがとうございます…何故だか完結したことになっておりますが続けていきたいと作者本人は思っております…!更新は今停滞気味ですがこれを機に更新していきたいと思います〜… (2019年5月5日 8時) (レス) id: f7e2178304 (このIDを非表示/違反報告)
イエ - お、終わり?面白かったのに…頑張って更新してください!お願いします! (2019年4月29日 23時) (レス) id: e962cbea86 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:蜜柑 | 作成日時:2019年1月5日 14時

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