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ウィル・オフ・タイクーン ページ11

とある駐車場。フェンスに腰掛け私と太宰さんは待ち人待つ


春野さんとナオミちゃんを避難場所まで案内した後、敦くんと別れ特務課と取引する太宰さんに私が着いてきたのだ


会話もなく、唯唯待つこと数十分。一台の黒塗りの車が駐車場に入り眼前に止まった


「何年ぶりですかねぇ太宰君」


扉が開くや否や、懐かしい旧友の姿
四年前とそう変わらない…少し窶れたかな?

特務課 参事官補佐、坂口安吾が部下を連れ下りてきた


「連絡を貰った時は驚きましたよ」


「やあ安吾!元気そうじゃあないか!」


友好的な笑顔で歩み寄ると思いきや、太宰さんは安吾から拳銃を掏り彼の後頭部へ押し当てたではないか

互いの顔色から喜色の色はない。冷えた空気に予測はしていたので私も驚きはしない


「善く来たねえ安吾。如何して思ったんだい?私が君をもう許していると?」


「マフィアを抜けた貴方の経歴を洗浄したのは僕ですよ。仮りがあるのは貴方の方では?」


それに、と云うや安吾はちらりと私を横目に見やる


「若し、君が僕を本気で殺す心算なら室生さんを連れてくる筈がない」


「…………」


太宰さんは訝しげに安吾を見、やがて諦めたと両手を上げため息を吐く

元々、今日は取引に来ただけなのに何故こう拗れるのか。まあ、四年前の清算がそう簡単に済む訳がない


「判ったよ。どうせこうなることを予期して弾を込めてないんだろう?」


「ご理解が早くて助かります」


拳銃を受け取れば安吾は私に振り返る
流石にフェンスに腰掛けるのは悪いかと考え飛び降り、彼の側に寄る


「お久しぶりですね室生さんも」


『うん、安吾も久しぶり。四年前より一寸だけ窶れてるような気がするよ』


「確かに昔より多忙になった覚えはあります」


お疲れ様〜と頭を撫でてみれば止めて下さいと避けられる

残念。昔から触られるの嫌だよね安吾


「安吾だけ?私だって窶れてるよ」


『何処が……?鏡見て出直してきて下さい』


「冷たいねえ…私にも優しくしてくれたって良いじゃないか」


『比較的優しくしてますよ』


頭を撫でて貰いたいなら云ってくれればいいのに、そういうところがまた子供っぽくて好きだけどね


私たちの様子に安吾は呆れて何も云えないようだった

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蜜柑(プロフ) - かりんとうさん» コメントありがとうございます〜1から読んでもらって書いた本人としても嬉しい限りです…!更新は不定期ですが出来る限り尽力していきたいと思います。これからもよろしければ応援のほどよろしくお願いいたします! (2019年5月6日 12時) (レス) id: f7e2178304 (このIDを非表示/違反報告)
かりんとう(プロフ) - 1から読みました。本当に面白くて面白くて、読み進める手が止まりませんでした笑こんなに素敵な作品があったとは……!これからも更新楽しみにしています!!頑張ってください! (2019年5月6日 12時) (レス) id: f31ecb66db (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑(プロフ) - イエさん» コメントありがとうございます…何故だか完結したことになっておりますが続けていきたいと作者本人は思っております…!更新は今停滞気味ですがこれを機に更新していきたいと思います〜… (2019年5月5日 8時) (レス) id: f7e2178304 (このIDを非表示/違反報告)
イエ - お、終わり?面白かったのに…頑張って更新してください!お願いします! (2019年4月29日 23時) (レス) id: e962cbea86 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:蜜柑 | 作成日時:2019年1月5日 14時

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