人を殺して死ねよとて ページ41
食後の後片付けもそこそこに、眠っていた期間の仕事が残っているため私は探偵社に向かう
乱歩さんは先刻の私の云う厭な予感を気にしてか共に向かってくださった
が、道中社長から緊急依頼が電話口から告げられた
話を聞く限り近場の会社で殺人事件が起こったそうな
与謝野さんの買い物に付き合わされている敦くんに代わり谷崎くんが既に現場で乱歩さんを待っている様子
『乱歩さん、現場まで案内します』
「………」
『乱歩さん?』
通話を終え携帯を仕舞う乱歩さんの表情は何処か浮かない
眉間に皺が寄ってるから考えてるのかもしれないけど
反応のない彼の名をもう一度呼べばゆるりと頸を振り何でもないと返してきた
「却説、稀代の名探偵に挑んできた犯人は何処の誰かな」
『退屈しないと良いですねぇ』
方向進路を駅へと変更して乱歩さんを連れ歩き出したが背後に感じる痛いほどの視線に警戒は怠らない
人通りの多い道を通るが狙いは私か一向に離れる気配がない
(乱歩さんを送り届けてから片付けとくか)
殺しはしないが二度と関わりたくないと思うくらいは懲らしめなくちゃ
心の中で誓ったとおり乱歩さんを送り届けてから其処らの人目の少ない路地裏に誘導してから一寸懲らしめておいた
これで暫くは大丈夫だろうが少し気になることがある
『てっきりポートマフィアの差金かと思ったが……この人、彼方の所属じゃないな』
外部からの刺客に疑問が浮かぶ
何故だろう。私がポートマフィアに狙われる理由は分かるが他勢力から狙われる理由等無い筈だ
(仇討ち……なら納得だけどこの人の動きは紛れもなく捕獲の動きだった……)
情報を吐かせるべきか、気絶する刺客へと手を伸ばした
その瞬間_私の第六感が警告を鳴らした
咄嗟にその場から離れると先刻まで私の居た其処はクレーターの様な陥没が
「真逆オレの奇襲を避けられるなんて、成長したなァ。流石流石」
『っ、………嘘でしょ。何で、此処に』
クレーターの中心地に降り立つ少年はにこやかな笑顔で拍手を讃え嬉々と歓喜している
昔から代わらないボサボサの紫色の髪。左右が黄色と青と違う異色の瞳。年端もいかぬ体からは有り得ないほどの力
『信雅………』
黒い外套の裾を揺らして口角を上げる彼の瞳はマフィア特有の黒く濁った後戻り出来ぬものへと染まっている
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作者名:蜜柑 | 作成日時:2018年7月7日 17時