ヨコハマ ギャングスタア パラダヰス(後編) ページ36
「矢張り彼の人の云ったとおり、Aの傍を離れていなかったんですね。太宰さん」
「…その口振からA在るところに太宰在り等と萩原さんが云ったんだろうね」
肩を竦め忌々しげに芥川くんを睨む太宰さんを見上げつつこの場には居ない彼を思い浮かべる
人を誂うような薄ら笑みが浮かんで苛ついた
「太宰さん、今回は退きましょう_しかし人虎の首と彼女は必ず僕らマフィアが頂く」
一人で勝手に苛ついていると芥川くんの濁った目が地面に倒れる敦くんと私を映した
「なんで?」
「簡単なこと。その人虎には__闇市で70億の懸賞金がか懸かっている。裏社会を牛耳って余りある額だ」
「へえ!それは景気のいい話だね。それで人虎には、と云うのならAは?彼女が狙われる道理はない」
「道理がないなど冗談を。彼女こそ表の世界よりも血に汚れた世界で生きるべき存在」
芥川くんの発言には一理ある、と云うか事実上そうだ。としか云えない
『…其はキミの意見?それとも、裏社会に広まる私への偏見?』
微かに笑顔がひきつった太宰さんを宥めるように彼の肩口に頭を預け尋ねればどちらもと返る
『ふーん……酷い云われようだ』
まあ、どう思われようが興味はないけれど
「探偵社には孰れまた伺います。その時素直にAと七十億を渡すなら善し
渡さぬなら__」
「戦争かい?探偵社と?良いねぇ、元気で」
端から見れば異様な光景だ
取引を持ちかけられているのに太宰さんは平然と笑顔を崩さず笑う
けれど次には私の体を持ち上げる手の力を強くして言い切るのだ
「やってみ給えよ___やれるものなら」
挑発に乗るわけもなく不敵に笑う太宰さんを芥川くんは唯静観していた
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作者名:蜜柑 | 作成日時:2018年7月7日 17時