ヨコハマ ギャングスタア パラダヰス(後編) ページ32
平然と答える私に敦くんが異能力、と反芻させるのを尻目に芥川くんから目を離さ一先ずここは逃げることを優先したい
残念ながら芥川くんには取引の類いは無謀だと私は認識している
任務において失敗は許されないポートマフィアに属す狗としてそれは間違ってない
「或る少女の死……面妖な」
『芥川くんは初めてだっけ。でもその様子から小耳に挟んでる程度で私の異能を知ってるっぽいね』
「当然。此方側の世界であれだけ名を残しておいて情報が行き届いてないと」
『……お喋りが過ぎるよ』
我ながら分かりやすい嫌悪の現れだ
これ以上その話を続けるのであれば容赦はしないと一段低く声を下げても目の前の彼は動じない
『丁度いいや、ついでに敦くんだけを残した理由を教えてよ。処刑対象は私でしょ』
「処刑…!?」
背後で驚く敦くんと同様に何故か樋口さんも私の発言に動揺し芥川くんに視線を寄越す
その様子から導かれるのはまさか敦くんが本来の目的と云うことか
「僕の目的は元より人虎の生捕り、人虎一人だけだが組織としてはA、貴様の連れ戻しもまた一つの目的」
『連れ戻し……処刑免除ってことか。
どうせ信雅が駄々捏ねた結果での妥協案でしょうねえ』
やだやだと頚を振りつつ私は口を開く
『“弾”』
刹那、何の前触れもなく私の眼前に一発の弾丸が現れ直線上に放たれた
芥川くんが簡単に撃たれてくれる筈もなく一発目は黒獣に阻まれ落ちた
『私は兎も角、敦くんはうちの大事な社員なんで悪いけどお帰りお願いしまーす』
笑みを讃えて何時もよりちょっと悪い顔をしてみれば芥川くんが微かに嗤った気がした
「言霊遣いはそうでなければ」
『敦くん、隙をついて探偵社の誰かを呼んできて』
「Aさん!!」
二つ組のサバイバルナイフを手に駆け出した私の後ろから聞こえた敦くんの声は聞こえないフリをした
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作者名:蜜柑 | 作成日時:2018年7月7日 17時