ある探偵社の日常 ページ15
眠りこけている敦くんを一先ず社員寮に運びいれた翌日
私は乱歩さんに連れられ街中の駄菓子屋を巡っていた
勿論、仕事帰りでありサボりではない
どっかの誰かさんと違って
『お疲れ様です乱歩さん』
「ん、まあ僕にかかればこの程度の事件容易いからね」
駄菓子屋で購入したお菓子を幾つか手渡して繕いの言葉を投げ掛ければ乱歩さんは堂々と云いきる
流石は名探偵と自負されることのある人物。その言葉通り先程解決した事件はあっさりと終わった
「それにしても、君は相変わらず自分の身を滅ぼすことが好きだね。僕はあのやり方は嫌いだよ」
『…乱歩さんが傷つくよりはマシだと思って……』
先程の事件に起きたちょっとした出来事。真実を暴露された途端、逆上した犯人が乱歩さんを狙ったのだ
その手にはナイフが握られており相手には殺気もあった
体が自然に乱歩さんを庇うように動いたのは当然だったのだ
『それに、本当に私が危険だったなら乱歩さんは今日の現場に私を連れてこなかった筈です。だから_』
言葉が切れたのは当たり前だ。不意に乱歩さんが私の頭の側頭部に触れるとおもいっきり頭をぶつけてきたからだ
『いった!!』
「君は莫迦だ。大莫迦だ」
突然の彼の行動に痛む額を押さえつつ彼を見やれば珍しく開かれた翡翠の瞳と目があった
「僕の推理を、僕を信頼しているのは分かる。けどそれは自分の身を疎かにするのは僕の推理の所為だと云っているようなものだ」
『違、そんなつもりは』
「勿論、僕は分かっているさ。君にそんなつもりはないなんてね」
『……』
「だが、今回のように自分の身の振り方を間違えれ続ければ流石に僕の認識も変わるさ。
いいかいA。君はまだ未成年者で子供なんだ」
ぺち、叩かれた額は少しも痛くない
けれどもその代わり胸の辺りが少しちく、ってしてる気がする
「未来ある君が無理をして困難に立ち向かわなくてもいい。大人に頼るのも一つの手だ
君は何処か死に急ぐ傾向が見られる」
『…もう十分頼ってます』
「だとしたら其れはまだ足りないね。変に子供っぽくないからね、Aは」
困ったように笑む乱歩さんはやれやれと肩を竦めて前を歩き出した
『信頼しているならば今までの
それもまた難しい話だ。やっぱり死ぬことよりも生きることの方が大変みたいだ
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作者名:蜜柑 | 作成日時:2018年7月7日 17時