Oblivion ページ5
探偵故、人の心情にはそれなりに敏感なほうだと思っても間違いではない
だから私の推測は的を射ているのだろう
『……私のほうがごめんね』
「…え」
泣きそうな彼らに心がずきずき痛む
ほんと、私どうしようもないな
『私があの時、身代わりになってたら…そうしたら君たちは助かっていたかもしれない』
「そんな、ことは」
『否定できないでしょ?』
ぐっと言葉を詰まらせる少女にこんなことは無謀だとわかっていても問いかけてしまう
自己犠牲がしたいわけではないけど、私は自分がユウヤを止められなかったことが許せなかった
あの状況では仕方がないかもしれない
そう判断できるほど私は大人ではないのだ
『…だからごめんなさい。恨むなら、私を』
「違うよ!!」
刺客からの否定の言葉。突然の出来事に声を発するのを私は止めた
今まで黙っていた少年は瞳に涙を溜めて少女の視線も私の視線も無視して告げる
「あんたが悪いわけない…だって、母さんを…俺たちを守ってくれた…」
「リンタロウ…」
「命の恩人を恨むなんて、できっこない…」
ぽろぽろ、涙を溢すリンタロウと呼ばれた少年を少女が背中を撫でている
その姿を見て猛烈に後悔した
こんなことを言わせてしまった。自分の無責任さに腹が立った
依頼人の、誰かの為になりたくて始めた探偵業が今まさに悲しみにうちひしがれる彼らを産み出している
血が出るほど力強く唇を噛み締め私は彼が泣き止むのを待っていた
465人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
橋本アリィちゃん(プロフ) - 初コメ失礼します!とても面白かったです!今後とも応援しています!頑張って下さい!(*´ω`*) (2022年6月13日 10時) (レス) @page46 id: 1849d0f1e6 (このIDを非表示/違反報告)
紅茶 - 面白かったです!蜜柑さんの作品が1番好きです!これからも頑張ってください! (2020年3月10日 20時) (レス) id: 203f8de236 (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑(プロフ) - カルビさん» コメントありがとうございます〜!こ、コツですか……具体的にどのようなコツでしょうか? (2020年2月4日 22時) (レス) id: f7e2178304 (このIDを非表示/違反報告)
カルビ - お話読みましたが凄いです。なにかコツとかあれば教えてください、 (2020年1月30日 14時) (レス) id: 9d5eab3caf (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑(プロフ) - 涼花凛娘さん» ありがとうございます!金曜日か土曜日あたりに作成できたらいいなと思っているので良かったら是非…! (2018年7月4日 22時) (レス) id: f7e2178304 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:蜜柑 | 作成日時:2018年4月26日 21時