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進むために ページ40

どれほど歩いたのか、それさえも忘れてしまうほど私たちは森のなかを無我夢中で歩いた


何かに導かれているように前を行くリンタロウの足取りは確かだ


時折振り返って私が疲れてないか確認してくれるが彼だって疲れているはずだ
そういう優しいところも私が惹かれた理由に入るのかも


なんて考えていると森を抜け街が現れた


『……ここって』


見覚えのある風景に私は目を見張ればリンタロウが静かに頷く


「僕たちの住んでいた街だよ」


足を止めることなく私は辺りを見渡す
ここには一度、退院後に来たことがある。リンタロウとミサキさんの様子を見に来た時だけ


彼らが親戚の家を盥回しされたり、私が事件に関する記憶をなくしたりで二度目はなかったのだ


「あれ?どうして…」


角を曲がった先、不意にリンタロウが足を止めた


彼に倣い私も足を止め隣から除き見てみるとそこは駐車場が立地されている


(あれ…ここら辺が森家族の家があった気がするけど…)


リンタロウの反応からもしかしたら家は取り崩され駐車場に変えられたのかもしれない


「ど…どうして…」


現実は酷いものだ。彼の唯一の家族との思い出を証明するものを消していくのだから


哀しそうに俯く彼に私は何が出来るのか、どうしようもない無力感に苛まれ奥歯を噛み締めた


『リンタロウ…』


私は無力だ。孤独に押し潰されそうになっている彼の心に同意することは出来ないし救うこともきっと無理だ


受け入れ寄り添うことしか私には出来ない


「……ありがとう、Aちゃん…」


背中を擦っていた手を取り涙を拭う彼から少しでも孤独感を拭えたら私はそれでいいのだ

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橋本アリィちゃん(プロフ) - 初コメ失礼します!とても面白かったです!今後とも応援しています!頑張って下さい!(*´ω`*) (2022年6月13日 10時) (レス) @page46 id: 1849d0f1e6 (このIDを非表示/違反報告)
紅茶 - 面白かったです!蜜柑さんの作品が1番好きです!これからも頑張ってください! (2020年3月10日 20時) (レス) id: 203f8de236 (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑(プロフ) - カルビさん» コメントありがとうございます〜!こ、コツですか……具体的にどのようなコツでしょうか? (2020年2月4日 22時) (レス) id: f7e2178304 (このIDを非表示/違反報告)
カルビ - お話読みましたが凄いです。なにかコツとかあれば教えてください、 (2020年1月30日 14時) (レス) id: 9d5eab3caf (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑(プロフ) - 涼花凛娘さん» ありがとうございます!金曜日か土曜日あたりに作成できたらいいなと思っているので良かったら是非…! (2018年7月4日 22時) (レス) id: f7e2178304 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:蜜柑 | 作成日時:2018年4月26日 21時

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