これは、私とのさよなら3【飯田 リンタロウ】

終わりのた ページ23

言葉での説得は無理だ。

どうして対話してないのにそう断言できるのかといえば、


私自身が彼らに同情の念を抱き口にしたところで彼らの心を理解することができないからだ

私は二人と違って両親を殺されたわけでもないし、晒し者にされたわけでもない


私が何を言ったって所詮は無駄なんだ


(…悔しい)


誰かの為になりたかったのに結局私は何も出来ないまま死のうとしている

これが無駄死にだとは思わないけど、これがリンタロウ達の為になると思ってるけど


(それでもこんな形でしか救えないなんて酷い話だ)


口先の言葉が駄目ならもう態度と古風だが手紙を頼りにするしかない

ぶっ飛んだ思考は我ながら可笑しいと自覚済み


堅物真面目ちゃんに見える私でも焦るんですよ人間なんだから


ナイフをしまい用意していた手紙をコートのポケット越しに触れ図書室の扉を開ける

私の予想が正しければユキナリはここにいるはず


『……ユキナリ、私は殺すつもりはないから出てきてほしい』


暫しの静寂、その少し後に図書室の奥の扉が開きユキナリが顔を覗かせた

彼は私が銃を捨てたのを見てたから出てきてくれたんだろう


「な、なんですか…」


『リンタロウをよろしく』


殺される恐怖で顔を真っ青にする彼に笑んだ



『んじゃ、それだけ』


囈言のようにどうして、と呟き私の名を呼ぶユキナリを扉に無理矢理押し込め背を向ける

後ろから出てくる気配がしたのでそうはさせないと振り向かずに告げる


『死にたくないなら出ない方がいいよ』


「……!」


扉越しに言葉を詰まらせるユキナリ

こう忠告すれば彼が出てこないのは一緒にいた期間があったからこそ分かる


一度だけ息を吐き出して今度は扉に向かって笑う


『それと、ここで何があっても口にしないでよ』


震える腕に彼は気づいているだろうか


目敏いユキナリのことだから気づいてるかも、いや、今は自分のことに必死で見えてないかも


どっちでもいい。私がやらなければいけないのは一つだけ


ああ、死にたくないな



ナイフを手放す


ナイフで自害を図る

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