狼裁判 ページ15
四回目ともなればもう戸惑うものはおらず、恒例のようにコウが事件を整理する
物置で毒を飲んで椅子に座っているチエさんが発見され現場は内側から鍵がかけられ密室状態
遺書もあり殺人の可能性は低いとリンタロウとリツちゃんは考えている
「その遺書のことなんだけど…気になる点があるんだ」
早速遺書のくだりを切り出したのはユキナリ
彼はなにかを数枚の紙を取り出すと提示する
「これは…俺が見つけたチエさんのチエさんの文字だ」
「なんだこれポエムか?」
『見るところが違うよ…ユキナリは筆跡を見てほしいんだよね』
おそらくあの禍禍しい箱の鍵を開けれたんだろう。流石ユキナリだね
『見比べると全然違うね』
「確かにそうだな…」
「本当だ…」
つまりこの遺書は狼によって偽装された偽の遺書だったのだろう
これで自 殺の可能性は潰れた
「そう考えると彼女の遺体にある不思議な点も説明がつくんだ」
それはチエさんのボロボロになった爪のことかな
まるで何かを引っ掻いたように痛々しい爪は記憶に新しい
「みんなも知っていると思うけど、チエさんの爪はボロボロになっていたよね」
「確かに…ちょー痛そうだったよなー」
「何か固いものを強くひっかいたように見えたな」
「そう、出入り口のドアだよ」
ドアには幾つかの引っ掻き傷と凹んだ跡が残っていた
よくよく考えれば凹んだ跡はドアを拳で叩いたからできたのかも
「毒を飲んで、苦しくて喉をかきむしるとか、ならわかるんだけどね♪まるで部屋から出たがっていたみたいじゃない?」
『もしくは誰かに気づいてほしかったとか。ほら、ドアには拳で凹んだ跡もある。
大きな音を出せば異変に気づいて駆けつけてくれると思ったのかも』
「…ん?それだと密室が出来上がった状態で殺されたということか」
『さあ、あくまでも可能性のひとつを提示しただけだよ』
平然と答えればコウが凄まじい眼力で私を睨んできた
いや、なんでそんなに睨むかな
「あ!少し話は変わるんだけど…」
私たちを宥めるようにリンタロウが声をあげ、全員の意識がそっちにいった
そのことに少し安堵する
「物置の扉を開けた時、少し変な匂いがしなかった?
まるで洗剤のような匂いがしたんだけど…」
それには心当たりがある。リンタロウが扉を蹴破ったときから私も感じていたし、実際あれが今回の凶器だと踏んでいる
465人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
橋本アリィちゃん(プロフ) - 初コメ失礼します!とても面白かったです!今後とも応援しています!頑張って下さい!(*´ω`*) (2022年6月13日 10時) (レス) @page46 id: 1849d0f1e6 (このIDを非表示/違反報告)
紅茶 - 面白かったです!蜜柑さんの作品が1番好きです!これからも頑張ってください! (2020年3月10日 20時) (レス) id: 203f8de236 (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑(プロフ) - カルビさん» コメントありがとうございます〜!こ、コツですか……具体的にどのようなコツでしょうか? (2020年2月4日 22時) (レス) id: f7e2178304 (このIDを非表示/違反報告)
カルビ - お話読みましたが凄いです。なにかコツとかあれば教えてください、 (2020年1月30日 14時) (レス) id: 9d5eab3caf (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑(プロフ) - 涼花凛娘さん» ありがとうございます!金曜日か土曜日あたりに作成できたらいいなと思っているので良かったら是非…! (2018年7月4日 22時) (レス) id: f7e2178304 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:蜜柑 | 作成日時:2018年4月26日 21時