忍び寄る狼の牙 ページ34
「あの…Aさん」
疑心暗鬼となった空気ではバラバラになって行動するのが当然となりみんなは独房を出ていく
私もとりあえず精神的にも疲れたから何処か休める場所を探そうと動き出したがユキナリが呼び止めた
『どうしたのユキナリ?』
「少し聞きたいことがあって…」
いいですか?と聞く彼に何だろうと次の言葉を促せばおそるおそる彼は口を開いた
「さっきの狼裁判について何ですけど…
Aさんはサトルさんの犯行の手口を全てわかっていたのにどうして俺に託したんですか?」
確かに私がは裁判の最中、ほとんど喋っていなかった
序盤は様子見をしていたがユキナリはきっとそんな答えは望んでないだろう
『そうだね、確かに私はキミに何度か答えを託したかもしれない』
「どうして自分で発言しなかったんですか?」
(どうして、か…)
『ちょっとね。多分怖かったんだと思う』
「怖い…」
正直に打ち解けてみると彼は意外そうに私を見つめる。その顔は心外だな
『私、一回人を殺したことがあるんだ』
「えっ…」
言葉足らずでつい誤解を招く言い方をしてしまったのは発した後に気づいた
慌てて間違えたと訂正しても尚ユキナリは警戒を解いてくれない
(私今回も羊だからキミを殺すつもりなんてないのに…)
内心苦笑しつつも私は過去を振り返る
『直接殺したんじゃなくてね。首吊りさせちゃったんだ』
「首吊り…?」
『そう。とある女性からの浮気調査を依頼されてね、実際に浮気現場を取り押さえたんだよ』
当時の出来事は今でも忘れられない。依頼を頼んだ女性の悲しそうな顔、男性の殺意を持ったあの目
『依頼人は信じたくなくて浮気現場に直接乗り込んだんだよ。そうなればもう修羅場、修羅場、収集がつかなくてさー』
「大変だったんですね…」
『うん、でもここからがもっと大変でさ。争ってたのが道路付近でさ、運が悪かったのか依頼人と浮気相手が道路に飛び出しちゃって」
充満する血の匂い、ざわめく野次馬の声、昨日のことのように鮮明に覚えてる
『そのままトラックにぶつかって即死。依頼人の恋人にはこう言われてね…』
お前が真実を知らなければこんなことにはならなかった
『どっちを愛してたのかは知らないけどその後その人自宅で首吊ってたんだって
酷いよねー、そもそもあんたが浮気するのが悪いんだって』
理不尽な言葉に祖父は気にしなくていいと私に言ってくれた。でもさ、でもさ
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蜜柑(プロフ) - ゆうるみんさん» 誤字指摘ありがとうございます…！ (2019年2月6日 18時) (
レス) id: f7e2178304 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうるみん - ページ３４でミホさんを殺したのサトルさんじゃなくてオサムさんになってますよ〜 (2019年2月6日 18時) (レス) id: ad5ceb69da (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑(プロフ) - ルナさん» 誤字指摘ありがとうございます…!!本当にミホさんには申し訳ないですorz (2018年4月5日 22時) (レス) id: f7e2178304 (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑(プロフ) - 桜羽さん» ひえ…コメントありがとうございます(*´-`)かっこいいリンタロウになるように頑張っているのでとてもありがたいお言葉です (2018年4月5日 22時) (レス) id: f7e2178304 (このIDを非表示/違反報告)
ルナ(プロフ) - 19ページの初っ端ミキさんが死んでますよー('ω') (2018年4月5日 22時) (レス) id: 217128913f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蜜柑 | 作成日時：2018年4月4日 20時
