これは、私とのさよなら【飯田リンタロウ】

探索パート ページ20

『くああ……』


自然と目が覚め欠伸を溢し私は体を起こした
寝起き特有のぼんやりとした意識も眠ったおかげかすっきりとしている


(うん。これなら動いても大丈夫そう)


憑き物が落ちたと言えるくらい軽くひょいっとベッドから飛び下りまずはミホさんの遺体がある植物室へ赴く


植物室にはミサキさん、ユキナリ、オサムさんと何か祈祷っぽいことをやっている目玉の髪留め女性


『……あの人なにやってるの?』


「チエさんですか?死んだ魂を成仏させるために集中しているそうですよ」


『へー…そっか』


お経とか知ってるのかな。
……なんて、今は彼女に構っている暇なんてない


(まずは死因の確認と…)

失礼します。手を合わせてミホさんの遺体を調べていく

胸元に大量の血が付着していることから普通は心臓を刺されたと判断するだろうけど、


(おかしいな…刺し傷が見つからない)


服越しに胸元に探ってみるけどそれといった外傷はない


(これだけ血を流してるんだから深めに刺されたのは間違いないと思うんだけど…)


疑問に思うのはそれだけじゃない。ミホさんの体に傷が何一つないことも気になる


仮に胸元を刺されたのだとしたら正面から刺されたことが前提条件となる。けれど普通正面から刃物で襲われそうになったら抵抗をするはずだ


(抵抗した時に傷がつくか最低でも衣服が乱れるかくらいはあると踏んだけど…この様子だと争った形跡はないし)


「Aさんも気になりますか?」


じーっと観察しているとオサムさんが私の考えに同調するように声をかけてきた


『気になる……そうですね。どうしてここまで綺麗な状態でミホさんは殺されたのかとか…あと凶器が刃物じゃないなら他の何を使ったのかとか』


「もっと詳しく調べるためには血を拭き取る必要がありますね…」


「俺、探してきます」


『私も探索がてら探してみようと思います』


植物室を出ていくユキナリに続いて外に出ると彼は一階を、私は三階を分担して雑巾か何かを探すことにした

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