最強の男の妹は最強アイドル (ページ4)

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3.いざZ市へページ4

その日の音楽番組での新曲披露は無事成功に終わり、ほっとしすぎたのも束の間。
私服にさっと着替え、心身共に疲れた体を労りながら事務所のバンに乗り込む。

「やっと来週オフだ～…みんな何する？」

眠そうな目を擦りながら聞いてきたのはリーダーのイチカ。歌唱力がずば抜けていて、オーディションのときも一等目立っていた。
とても面倒見がよくてメンバーも頼りにしている。

「私はちょっと遠出するかな」

「あ、A、もしかして」

「そう、分かったの」

喜びが隠せず満面の笑みをイチカに返した。イチカも安心したような表情で喜んでくれた。

「でも大丈夫なの？Z市って…」

「え、Z市？」

前の座席に座っていたカノンが身を乗り出すようにして私とイチカを見る。

「A…」

「も～大丈夫だって。私がどれだけ怪力か知ってるでしょ？」

「でも…」

「ヒーローに付いてきてもらったら？A級くらいの」

提案したのはメインダンサーのハナ。ダンススキルはアイドル界でも1,2を争う実力で、コンサートには必ずハナのダンスソロの項目があるくらいだ。

「ヒーローって言ったってA級なんてあんまりいないんじゃない？」

「でも来てくれたら私達も安心だよ」

「マネージャーさん、ヒーロー協会に掛け合ってくれない？世界的アイドルを危険から守ってくださいって！」

「ハナってば…」

「そう言うと思って既に手配済でーす」

「「「「流石」」」」

「まじか～」

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Z市突入当日。

「来ない」

現在Z市の入り口付近。A級ヒーローとの集合時間は確か10時だったはすだが、1時間経った今でも人が来る気配はない。

もしかしたら来る途中で怪人に出会して対応しているのかもしれない。Aはもし本当ならそちらに集中していただきたいとぽつりと思った。

「どうしよう…」

彼女には怪人を吹っ飛ばしてしまうくらいの力があるが、何体もの怪人が住み着いていると噂されているZ市。油断してしまえば顔に傷が付くだけでは済まないかもしれない。

それにメンバーにばれてしまった暁には面倒になることは容易に想像ができた。
特にイチカは心配症なのでお説教が長くなると思うと今からうなだれてしまう。

しかし、兄に会いたいという気持ちがとてつもなく大きい。
未来の自分がポーカーフェイスであることを願う。

「…行くか！」

こうしてAは未知の土地へと足を運ぶのであった。