遠い存在だと思っていた彼

１５ ページ17

A｢頑張れ…！｣







初戦はストレートで負けてしまい
今日こそ、と顔の真ん前で両手を組み祈る仕草をする







そして2日目の試合が始まり、結果は敗北








いよいよ3日目


日本は惜しいところで負けてしまった








A｢…だめだった｣






試合終了から数分後、インタビューを受け自分の課題を次々に答えていく選手達








A｢オリンピックで戦ってる姿、見たかったな…｣







小さい声でぼそっと呟いた






そしてAは柳田にどう励ましの言葉をかけたらいいのか悩んでいた


自分みたいなド素人に言われるといくら彼でも嫌な気分になったりしてしまわないかと……そんなとき






A｢あ、｣







着信
柳田将洋









意を決して電話に出る







A｢…もしもし｣







柳田『もしもし、観てくれてた？』







A｢はい、｣








柳田『負けちゃった』








A｢はい…｣








“どうしよう、なんて声かければいいの”



ものすごい速さで頭を回転させているA









A｢あ、あの！｣







柳田『ん？』








A｢試合には負けちゃいましたけど、すごいかっこよかったです


ボールを必死に追いかけてる姿


サービスエースとった姿


チームのみんなで喜んでる姿


こんなこと言ったら嫌な気分になっちゃうかもしれないですけど悔しがってる姿も。



全部がすごいかっこよくみえてました｣








柳田『…っ！』







A｢まささん…？怒っちゃいましたか？ごめんなさい｣







柳田『んーん怒ってないよ、むしろありがとう


なんか心が和らいだ気がする』







予想とは逆の返事が返ってきて安心した表情を浮かべながら




“なら、よかったです” とひとこと







柳田『あ、ごめん、じゃ俺そろそろ荷物片してくる』







A｢はい、わかりました｣






柳田『それじゃ、またメールする』





A｢はい待ってます｣






そう言って向こうが電話を切るのを待っているA






柳田『あ、』







A｢どうかされましたか？｣






柳田『あ、あのさ



やっぱメールじゃなくてLINE、追加してもいいかな？』






A｢はい！ぜひ！｣






柳田『よかった、ありがとう


それじゃあまたあとで』





A｢はい、またあとで｣






ツー、ツー、ツー






A｢まささんがLINEしてくれる…！




どうしよう、めっちゃ嬉しい｣

続く  (更新停止中) お気に入り登録で更新通知を受け取ろう

←１４

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す