漆 ページ9
「一期一振、鶴丸国永、燭台切光忠、山姥切国広。
…ごめんなさい」
生まれて初めて、土下座というものをした。
どうしたらよいかわからなくなってしまったからだ。
「君、頭をあげて？君のせいじゃないのも、君が悪い人ではないのは充分わかったから」
「面白いなぁ…驚いたよ」
「…えぇ。五虎退があれだけいう理由がわかる気がします」
「あんたのこと、主だって認めたから」
周りからそんな声が聞こえて、頭を上げる。
「いいの？そんな簡単で」
「あいつとは違うというのは纏う気と、五虎退の様子、この本丸の様子からよくわかるからさ」
流石だと思いつつ、思い切りため息を吐き、倒れ込む。
「何かあったらすぐ言ってね。一期、鶴丸、光忠、山姥切、もちろん五虎退も」
とたとたと私に近づいてくる五虎退。
少し涙目だ。
「ごめんね五虎退。たまには一緒に行こうか」
「はい！」
ぱぁあっと嬉しそうに笑顔になる五虎退。
それを見て微笑ましそうにしているほかの刀剣達。
いつも通り抱きしめて撫でてから立ち上がる。
「無理は、していないね？」
「本心だ」
先程まで硬く何かを恐れていたような一期の表情も柔らかくなっていた。山姥切もだ。
「布団準備しなきゃね。ほら、動く」
座っていた山姥切と鶴丸、光忠と一期の背中を叩き、私の部屋である雷の部屋の両隣の隣の藤の部屋と紫陽花の部屋に布団を持ち込む。
藤は山姥切と光忠。紫陽花は一期と鶴丸。
五虎退は私の部屋、または紫陽花だ。
「五虎退、私はお風呂に入ってくるから、他のみんなに部屋の説明してきてくれる？」
「はい！主様」
五虎退に案内を頼み、私は自分の部屋の奥に作られた、お風呂へと入った。
一応この本丸には源泉を引いている広いお風呂があるが、私は同じ源泉を引いた私専用の小さめのお風呂を使っている。
ちなみに私の部屋はフローリングである。
お風呂トイレ完備である。
しっかり疲れを癒して、お風呂から上がると、五虎退の説明も終わったらしく、私の部屋にみんな揃っていた。
「あぁ、君、今度から食事は僕が作るよ」
「そうしてもらえると助かる。ありがとう」
ふわぁ、と五虎退が大きな欠伸をしたので、今日はもう遅いということもあり、各自部屋に行き、寝ることにした。
「主様、おやすみなさい」
「おやすみ五虎退」
本当に今日は色々あった。
ブラック本丸より刀剣男士を救出し、私の刀剣となり、五虎退の話などから私のことを認め、主として慕ってくれた。
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