陸 ページ7
「五虎退、ほかの人も一緒に手入れ部屋へ」
「はい！主様！」
相変わらず私と目線を合わせてはくれないが、五虎退とは話をするようで、五虎退と共に手入れ部屋へ行ってくれた。
一期一振。山姥切国広。鶴丸国永。燭台切光忠。
あの女の顔の好みと思い入れで残したらしい刀剣達。
あの女の運命など知ったことはないが、政府よりあの刀剣達は雷に任せる、と投げられてしまった。
ただ単に、汚名を晒したくないのであろう、政府は。まぁ、正式に私の刀剣になった、というところだろうか。
これなら安心して五虎退を
私も部屋に行き、お面を机の上に置き、黒い袴を脱ぐ。色々と汚れてしまった。
服を浴衣(いつもはスエットやジャージ)に着替え、汚れた袴を洗う。
洗濯している間にお面の切れた紐を付け直す。
「主様ー！」
パタパタと五虎退が私の元へ走ってくる。
「終わりました！」
政府が早く終わるよう、手入れをする妖精を増やしてくれたため、すぐ終わった。
「じゃあ、桜の部屋に集まるか、みんなのことそこに集めてくれる？」
「桜…あ！もうみんなそこにいますよ！」
「そうなの？ありがとう、五虎退」
五虎退についていき、桜の部屋に入る。
「うん、元気になったみたいだね。
改めて、私は雷。この本丸と五虎退の主。
あと、あなた達に申しにくいのですけど、あなた達は先程、私の刀剣として移動させられました。
前主は…どうなるか知ったことじゃないけれど、金輪際あなた達とは会えないだろう」
「…あんたが、主？」
ぎろりと、睨みつけるように私を見る、山姥切国広。
ふむ、と様子を伺う、鶴丸国永と燭台切光忠。
なにかに怯える、一期一振。
「かといって、私はあなた達にしてほしいこともないのでこの本丸の敷地内で好きなことをしてもらって構いません。
私は毎日仕事で午前中はここにはいませんので。
…五虎退をお願いします」
頭を下げると、五虎退の困惑した声が聞こえた。
「どうしてです？主様」
「…だめなの、五虎退。貴方が大人になるために、私の仕事は悪影響だからよ」
目を潤ませ、私を見る五虎退。
「おいで」
五虎退に向かって手を広げると、一期一振が五虎退を引っ張った。
やはり、か。と私は思う。
それと同時に、やるせなさ。兄貴肌の彼、一期一振をここまで苦しめるもの。
__弟達を守れなかったことであろう。
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