まさかまさか ページ22
_景信山_
その山の奥、生い茂る草木を抜けた先にはなんとなく見覚えがありそうで無い、一軒の家が建っていた。
これって…
そんな気持ちとは裏腹に、あまね様が中の人に声をかける。
気配は二つ…まさか
「…はい」
「お初にお目にかかります。私は産屋敷あまねと申します」
「わぁ…」
「おい、下がってろ無一郎」
__そう、まさかまさかの時透家だった。
わあ、無一郎君と有一郎君だね!可愛い!!←
勿論表情には出さず、真顔…は駄目なので少し微笑む。
初対面の印象って大事だよね(陰キャ)←
あまね様が事情をお話しする中、私はといえば周囲への警戒は続ける。
_あ。
そういえば有一郎君って、あまね様にいつか水ぶっ掛けるんだっけ?
「…そうですか、俺たちには関係のないことです。帰ってください」
有一郎君は冷たい目で言い放つ
あぁそっか、彼も救わなければ。
半ば使命感のようなものだったが、知っていて彼らを見殺しになんてできない。
救いたい、と思った。
「_それでは、また」
あまね様は少し残念そうに踵を返す
私も後に続こうと振り返って、ふと、横を通り過ぎたあまね様からの良い香りに立ち止まる。
変態じゃ無いよ((殴
__藤の花の香り
懐を触ってハッとすると、急いで時透君たちに近づく私。
「…っまだ何か用か!」
有一郎君が近づいてきた無一郎君を守るように後ろに隠し、私を睨む。
_良いお兄ちゃんだなぁ
状況に合わずそんなことを考えた
『君たちにはこれを。…藤の花の香りは奴らにとって最も嫌な香りなんだ。これは最低限の自衛手段。
__私のことが気にくわなくてもいい、これを肌身離さず持っていてくれ』
お願いだ。
そう真剣に念押しすれば「金なら払わないぞ」と睨む有一郎君。
本当に君はしっかりしているなぁ…
『私は商人じゃ無い、お金なんてとらないよ。こんな簡素な物だけど、効果は私が保証する。…だから遠慮なく貰ってくれると嬉しい』
「…判った。ただそんな風に言ったところで本当に俺達は剣士なんかにはならないからな」
『うん。君たちが元気でいてくれれば、それだけで良い』
…できれば私は、ならないでくれると嬉しいんだけどね
「は?」
『じゃあ、またね!』
そう言って少し先にいるあまね様の元へ行く
彼らの日常を守れるかは判らないけど、少しでも良い方へ_
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餅月 猫(プロフ) - 続きを!お願い!!します!!!更新待ってますっっっ!!! (2021年6月30日 1時) (レス) id: 13a520387c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:闇月 x他1人 | 作成日時:2020年5月21日 22時