【HUNTER×HUNTER】運命とは厄介なものである。

88 (クロロ視点) ページ44

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慌てる彼女に問答無用で最近手に入れた能力を発動させた。しかし確実に標的に被せたものの手応えはなく、能力解除した風呂敷は中は空っぽで、やはり…と、先程いた位置から一瞬で消え扉の前に現れたミョウジの娘、改めA＝ミョウジを見る。



「テレポート。相変わらず随分と厄介な能力だな」

『包んだものを小さくさせるマントですか？便利そう…』

「その余裕からすると能力のリスクはほぼ0か？それほどまでの能力を作れるのはやはりミョウジ家の人間で間違いないな」

『逃げるための能力ですからね！じゃ、殺される前に失礼します！』



律儀にも頭を下げて消えた気配にふと息を吐いて笑う。

……十三年も前。絶望に諦観することもなく腹を立てる少女に、俺はきっと興味を持った。
もう来ることなどないと思っていたその日は唐突で、死んだ仲間と入り違いのように現れた彼女に、俺はまた興味を持った。生に興味もないくせに、死んでたまるかとまるであの時と変わらない瞳。

あんなにも小さく非力だった少女が、才能を開花させ、"母親"と似たような能力を作っていたことには少なからず驚いたが。
…あの日、確かにミョウジ家の男は殺した。だが彼はミョウジ家に婿入りしたただのハンターであり、彼女の母親こそがミョウジ家の血を色濃く継いでいた。自身が女であることを両親に蔑まれ疎まれたように、娘のAにも同じように接してしまったらしい。俺たちの急襲により先に父親が死んだ後、娘だけはと懇願した母親は、俺に能力を譲った代わりに今も流星街で生きていることなど、当時の彼女には見えず聞こえず、今も彼女は露ほども知らないのだろう。

パラパラとページを捲り、 本を閉じる。

目を細め、随分と懐き懐かれていたゾルディック家の人間を思い出す。そうか…お前達が彼女を育て、彼女の居場所になってしまったのか？妬けるな、生かしておいたのは俺なのに。それともあの時、まだ未熟な少女を無理やりにでも連れ去っておくべきだったのか？
後悔なんて、柄でもないことを。


「…知り合い以上になっただけか」


俺は一体何を期待していた？

扉が開き、「あれ？一人だ」と顔を覗かせたシズクの後ろからぞろぞろと蜘蛛の手足が現れる。…今はこちらが最優先。指示をだし、コルトピに俺達のコピーを作らせた。

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▼(裏設定)
Aの母親は愛し方を知らなかっただけでちゃんと娘を愛していた、だけど伝わるはずがない。Aの自己肯定感の低さは親に愛されなかったところから来ている

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