【HUNTER×HUNTER】運命とは厄介なものである。

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瓦礫が崩れ落ちるような音が遠くで聞こえる。


「…うん。えらいね、A」


毒や爆音のせいでガンガンと耳鳴りがする。けれどその中でやけに鮮明に、いつもと何も変わらないイルミさんの声がして、座り込む私の頭に、同じくしゃがんでいるであろうイルミさんの手がぽんぽんと優しく触れた。


罠であろう爆発物が爆発した瞬間、咄嗟にテレポートをターゲットの元へと発動させたが、僅かに間に合わず爆発の光と熱を帯びた爆風で角膜が傷つき、目をあけることができない。
テレポートの分、オーラが分散されて他の防御が遅れてしまったのだ。

だがテレポートによる反動は少ない。ターゲットはちゃんと屋敷付近にいたのだと安堵する。
爆発から逃れる為だけなら外にテレポートしてもよかったのだが、その間にターゲットに逃げられる可能性もあった。刺客を仕留める為だけにあの規模の道があったということは、勿論避難用の経路もあり、そしてそれも大規模なはず。そうなると逃亡を阻止するのはイルミさんでも大変…だと思う。
だからと言ってターゲットの元へとテレポートするのは命懸けだったわけが、私がそんなにリスクの高い賭けをするわけがない。イルミさんが持ってきた情報が間違っているはずがないのだ、そう思う私にとってつまりこれはそれほどの賭けではなかった。

恐らくここは先程の通路のさらに地下。

がたりと席を立つ音やグラスや皿の割れる音、誰だ、なぜ、どこからと喚く男の声がうるさい。恐らくターゲットだろう。ターゲットは念能力者と情報にあったが、まぁイルミさんの足元に及ぶはずがない。
すぐに収まった男の声に、涙の膜を張る瞳を薄く開ける。

額に針を受け、既にこと切れているターゲット。イルミさんは次に悲鳴をあげた妻らしき女性を殺し、恐怖で震える子供に近寄り見下ろす。一瞬生かすのかと思ったが、間髪入れず針をさした。

ぼやける視界と毒で痛む頭、ガラガラとコンクリートだろうか、が崩れる音が木霊する部屋の中で、私はその光景を見ていた。


『っ、』


ズキリと頭が痛んだ。
同時にフラッシュバックした、どこかの光景、男女の遺体、優しく笑う知らない少年。

これは、いつの記憶だろうか。



✱
✱
✱



「いやーちょっと驚いたけどAがいて助かったね」

『イルミさんがもう少し早く毒のこと教えてくれればもっと楽だったと思うけどね……』

「ごめんごめん」


え？冗談なのに、謝るってことは確信犯？？

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