【ハイキュー】ねえねえ、女の子は顔じゃないらしいよ。

悪女編：悪女はほっとくと調子乗る ページ33

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『ちわー…っす』

「あっ、九条！ 見てよ、ボールが…！！」

『ん？』




部活だるいよ帰りたいよぉ…と、体育館に足を踏み入れた途端、日向くんが半泣きで私の元まで駆けてきた。
なんだなんだ何事だ！と日向くんを見ると、その手にはボロボロのバレーボールが。

それに私は思わず眉を寄せる。

明らかに、刃物か何かで故意に切り裂かれたあとがある。



「ひでぇよな！一個だけだったからまだ良かったけどさ！」

『……』



プンスコ怒る日向くんと、あきらかにイライラしている影山。いつもうるさい二年生の二人も無言で、怒っているようだった。

もしかしてだけど、これさぁ……。




「九条、ちょっといいか？」

『澤村さん…、こん…にち、は……』




澤村さんに呼ばれて顔をあげる。
そして私は言葉を詰まらせる。

澤村さんは、どこか困ったように笑っていた。その後ろにいる菅原さんも同じような表情で横にいる東峰さんも同じ。それがどういう意味なのか、私はなんとなく察してしまった。

ちょ、待てよ！とキムタクばりの声を張り上げたい。




✱
✱
✱




「あの、なんだ、別に疑ってる訳じゃないんだ！」



体育館裏に移動して。澤村さんは気まずそうに頭をかきながらそう言った。それでもその目はどこか私を探っているように見えた。




「さっきの件について、何か知ってることはないか…？って知らないなら知らないで全然！」



取り合えず、なんて答えよう。

勿論私はやってない……けど多分、私繋がりだと思う。予想だけど、Aさんか、Aさんの友達がやったんだろう。
って答えに迷って黙っていたら、私がやったと勘違いされたらしい。



「正直に言えば、別に怒らないし、誰だって過ちはあるし、な…！」



これアカンやつや。確実に私だと思われかけてる。
なんで私？と思い当たる節がないわけでもないけど、考えられるのは誰かの嘘の告口。

退部させて貰えるならそれでもいいかも…と思う自分を一旦黙らせて口を開く。




『私はやってないんですけど、誰かに私がやってた、とか言われました？』



ギクリと分かりやすく肩を揺らした澤村さん。
実は隠すの下手なんですか。

まぁ、だということは。



『……それ、1年生の女の子ですよね？私には言わないように、とか言われました？』

「！？ な、なんでそれを…？」

『分かりましたありがとうございますちょっと部活抜けますね』



やっぱりな。

Aさん、君は私を怒らせた。



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