迎え ページ44
最後にかぐやが殺せんせーの名前を呼んで深々と礼をした時、見ていたかのようにタイミング良く、三日月を先頭に三条刀達と朔がその場へやってきた。
時間切れだ。
「かぐや、そろそろ時間だよ。夜の加持祈祷もすんでしまったしね。」
「ははは、月の都からの迎えみたいなもんだな。ほれ、かぐや。」
三日月が差し伸ばした両手に引き寄せられるように収まるかぐや。
「あなや、また甘えてくれるのか?俺は嬉しいぞかぐや、さぁ帰ろう。」
「うん…。」
三日月に手を引かれ、振り向くことなくゆっくりと山の中に消えていくかぐや達。
生徒達も彼女の気持ちを汲んだのか、止めようとするものはおらずにただ涙をすする音だけが聞こえた。
「長い間かぐやの面倒を見てくださり、ありがとうございました。これ、つまらないものですが…」
気まずい空気の中菓子折を差し出す朔。この場にはもう人間しかいなかった。
「明日の朝、俺達はかぐやのとも、あのバケモンのことも…全部忘れるんスか。」
「かぐやの痕跡は無くして、いなかったものにするんですか?」
「お願い、かぐやのこと忘れたくない!!もちろん誰にも言わないし!!」
生徒達に詰め寄られる朔表情をひとつも動かさず、ゆっくりと頷いた。
「俺はここにいる全員の口の硬さを信頼している。理由は聞くな。この件については既に管理部門に報告済みだ。君達のアフターケアも全てが終わった、と。」
「もう終わって…?私たちまだかぐやのこと覚えてますよ?」
おもむろに着てきたジャケットを脱ぎその場に座り込む朔。
その彼の顔は爽やかに微笑んでいた。
「黙ってられるって信頼しているから、頼むぜ?」
「ってこと…」
「かぐやと記憶の中だけど一緒にいられるんだな!!」
わァっと歓声が上がる。かぐやはここまで愛されていたのかと朔は驚くがどこか納得したかのように元の顔に戻る。
「かぐやが飛ばされた理由、君たちのこの地への執心だってよ。君たちが出会うべくして、彼女を呼んだんだ。」
衝撃の事実を吐いたま朔は軽く礼をすると彼らに背を向けた。
1枚のメモを残して。
「朝日が昇る前の時間、かぐやは門の近くにいさせる。会いたければ来てやってくれ。仮の保護者として俺まで置いてくれて、今までありがとう。だって。」
そのメモを見て生徒達は全員一致で朝早くに学校に来てかぐやを見送ることを決めた。
かぐやとは、もう会えない、永遠の別れ。
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ミューゼス(プロフ) - 極・吹雪姫さん» 全作品にコメント頂きありがとうございます!これからもよろしくお願いします! (2019年5月12日 18時) (レス) id: 8be0659255 (このIDを非表示/違反報告)
極・吹雪姫 - みゅーぜす>ワンコ女子の力作見ましたわ!!表クール(?)で裏ワンコ!!発想、展開、誤字はあっても、長く続けられる強さ。だからこそできた作品でしょう。(ちなみに暗殺教室→カルマ、有希子 黒バス→伊月が好きよ? (2019年5月7日 21時) (レス) id: c4455a25af (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ミューゼス | 作成日時:2018年8月29日 18時