覗く月 ページ16
「かぐやが記憶を取り戻したから俺を呼んだの…では無いな。とはいえ同じ場、目の着く場所に愛しい人いるとは…随分と俺は幸せ者だなぁ。」
優雅にドアを開けて入ってくる三日月宗近。
かぐやはその姿の美しさにふと目を奪われたがサッと目を逸らしたのだった。
「あなや、さすがにその目を俺にじっくりとは見せてはくれぬか。」
「おや、かぐやさんの目にあなたが関係があると。」
殺せんせーが驚いたように声を上げると今気付いたように薄く笑い返す三日月。
「妖教師殿ではないか。そうだな…そうだ、良い機会だし俺とかぐやの話を聞かせてやろう。かぐやも、それを聞いて思い出すものがあるかも知れぬぞ?」
「そんなの…」
「おぉそれはいいですねぇぜひ聞かせて欲しいです。あと、私は妖教師ではありませんよ殺せんせーです。殺せんせーとでも、せんせーとでも、お好きにお呼びください。」
「先生!!」
ほけほけと嬉しそうに笑う三日月の言葉を勧める殺せんせーの下世話さに1度は立ち上がって抗議しようとしたかぐやだったが諦めたのか、不満げに荒くまた椅子に腰掛けた。
「まず俺とかぐやの出会いはだな、…」
三日月は包み隠さず、真実だけを述べた。
ただ一つ、朔からお灸を据えられた自分達が刀剣より生まれし付喪神であることを隠して。
「少し待ってください。三日月宗近さん、なにか隠してますねぇ?どうです?私も国家機密、秘密の交換ということで…」
「ならぬ。そう朔から言い渡されておるのでな。主の命を破ってまでの価値がお主にあるとは思えぬ。どれかぐや、思い出したか?」
「いや…何も思い出せません。けど…貴方を毛嫌いしすぎてました。思い出せなくて、ごめんなさい。」
三日月の優しい声にふとかぐやの心がチクリと傷んだ。
罪悪感もあるのだろうが、それよりも痛い心臓を握られているような感覚。
記憶が私を急かしているのかもしれない。思い出して、素直になるために。彼女は胸元をぎゅっと握りちらりと驚いている三日月の顔を覗いた。
「よいよい。ゆっくりでいいのだぞ。それに、お主が嫌いではないと言ってくれただけで今の俺には十分だ。それ、この世の学友が聞き耳立てて心配しておる。行ってくるがよいぞ。」
ぽんっとかぐやの背中を押す三日月。
「にゅやっ!?みなさん盗み聞きとはどういうことですかっ!!」
「今はこれでいいのだ…のぉ朔や。」
「お前がこれでいいならな。」
「…」
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ミューゼス(プロフ) - 極・吹雪姫さん» 全作品にコメント頂きありがとうございます!これからもよろしくお願いします! (2019年5月12日 18時) (レス) id: 8be0659255 (このIDを非表示/違反報告)
極・吹雪姫 - みゅーぜす>ワンコ女子の力作見ましたわ!!表クール(?)で裏ワンコ!!発想、展開、誤字はあっても、長く続けられる強さ。だからこそできた作品でしょう。(ちなみに暗殺教室→カルマ、有希子 黒バス→伊月が好きよ? (2019年5月7日 21時) (レス) id: c4455a25af (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ミューゼス | 作成日時:2018年8月29日 18時