2.目撃 ページ2
まあ、告白なんてするつもりもないし、友達でいられることが何より心地いいから私は今の関係性を変えたくはないのだが。
「おーい、〇〇〜。」
「え、あ、どしたの？」
どうやら和成の話を聞き流してしまっていたらしい。
「お前、昨日あんま寝てねえだろ。またなんかあったか？」
いつもこうやって、少しの変化に気づいて心配してくれる。
「なーんにもないよ。大丈夫。」
笑ってみせると、釣られたように和成も笑ってくれた。
「ならいいけどよー。何かあったらすぐに言うのだよ〜笑」
顔の前でゴールデンレトリバーのぬいぐるみを左右に揺らしながら変な声を出す和成。
「なにそれ、って真太郎のか笑」
可愛いのだが、何となく面白い顔をしたぬいぐるみは、和成が笑う度に少し上下に動いて面白い。
「そーそー。今日のラッキーアイテム。」
ほんと何でも持ってるやつだな。
肝心の真太郎はと言うと、委員会の呼び出しをくらって今はいない。
流石にぬいぐるみはやめておけと、私が持っていたキーホルダーに変えさせたのだ。
「あいついよいよお店開けると思うんだけど。」
系統はバラバラな雑貨屋さんとか。
「売れんの？それ笑」
そんなふうに話をしながら、毎日時間はすぎていく。
ある日の昼休み。
真太郎が提出物を職員室に持っていくというので、手伝う事にした。
2人で運び終えて教室に戻った頃、和成の姿は教室にどこにもなくて。
いつもお昼は屋上で食べてはいるけど、だいたい3人揃って行っていたから、何となく今日も待ってくれているものだと思っていた。
珍しいこともあるもんだと思いながら、お弁当をもって屋上へ続く階段に足を乗せた時だった。
「私、____くんのことが好きです。」
おいおい、今日はバレンタインでも文化祭でもないぞ。
告白って普通イベントごとの時とかにやるもんじゃないの？
なんて思いながら、ちょっっっとだけ当事者が気になってしまったので、壁にくっついて顔だけ覗かせてみた。
女の子の方は隣のクラスの可愛いって有名な子。確か佐倉さん。
男子の方は…
「おいおいおい…マジかいな。」
思ったより冷静な私がいるのに驚いた。
告白を受けているのは和成だった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：月香 | 作成日時：2022年9月21日 14時
